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特許のメリットと活用方法 4選

「特許」という言葉を聞くと「なんとなく大事ということはわかるけど、どうしたらいいかわからない」、「費用もかかるし、うちは今そういうフェーズじゃない」といった声や、「私には特許は関係ない」、「うちに特許は必要ない」と反射的に考えてしまう人も多くいることが事実です。

その理由のひとつに、”特許のメリットがわかりにくいから”というのがあるかもしれません。

今回は特許取得だけでなく、「特許情報を見てニーズとシーズを探索する」という使い方まで、特許のメリットと活用方法をまとめました。

権利を独占し、自社製品を守る・競争優位性を確立する

特許を取得することによる大きなメリットは、競合他社が同じ発明を使った製品を作ることができなくなるというところにあります。

特許法は、発明を公開する代償として、公開された発明に対して独占的な権利を与えるということを定めた法律です。

つまり、特許という法的な権利を適切な範囲で取得することで、競合他社の大きな参入障壁を築き、市場を独占できる可能性もあります。

もし他社が自社の特許と同じ技術を使って製品を作っていた場合、特許権者はその製品の差止を申し立てるなど、法的な権利に基づいた主張をすることができます。

技術力のアピールに活用、投資にも

特許を取ることで得られるメリットは、発明を独占できるということにとどまりません。発明を公開することで、他社や投資家・VCへの技術力アピールになります。

「弊社にはこういう技術があります」と、特許番号を示すだけで特許権者は客観的かつ法的な効力のある資料として自社技術を説明することができるのです。また、融資を受ける際の担保としての活用可能性もあります。

他社へ売却・ライセンスを行い、マネタイズ

直接マネタイズ

特許権は他社に売却したり、ライセンスをしたりということができます。

その特許を利用した製品・サービスの売上が伸び悩んでいたり、開発費用が足らなくなり困っていたりという場合には特許を売却するという選択があり得ます。

たとえば、在庫リスクを抱えたくないなどの悩みがある場合、特許を他社にライセンスし、製造はライセンス先の企業で行ってもらうといった方法があり得ます。

ライセンスの場合はライセンス先との間でロイヤリティ条件につき話し合うことになります。

たとえば、「ライセンスした技術を元に製造された製品の売上の5%をロイヤリティとして支払う」といった条件を設定することになります。

他社との提携

ライセンスの方法をとる場合、ロイヤリティをもらうという以外にも、ライセンスをきっかけとした他社との連携という方法もとり得ます。

たとえば、自社とシナジーの高い特許を持っている企業とクロスライセンス(提携先に自社の特許をライセンスする代わりに、提携先の特許のライセンスを受けること)し、共同で開発を行うことで、他社の開発リソースも活用でき、自社だけではありえなかったスピードで開発ができたり、製品化した後においても他社の顧客にリーチできる可能性もあるため、他社と提携することで自社だけではたどり着けなかった領域に行ける可能性があります。

特許情報からニーズ・シーズの探索

実は、特許の使い方は権利を取得するだけではありません。

特許にはその発明の内容を詳細に説明した「明細書」というものが付属しています。明細書には、発明となる技術の背景や概要だけでなく、”その発明が、どのような技術によって、どういった社会課題を解決しようとしてされたものか”ということが記載されています。

つまり、明細書からは、その特許を取得した人が、どういった社会課題に目をつけて、どのような方法を使い、解決しようとしているかということを読みとることができます。

これは、特許を出願している企業の戦略を分析することにも役立ちますし、それだけでなく市場にどのようなニーズがあり、どのようなシーズがあるかということを知ることにも役立ちます。

この情報は、自社のサービスを改善したいときや新規事業を始めたいと思う時にも大きなヒントになり得ます。

いうまでもなく特許を取得するには数十万円~数百万円ほどの費用が掛かりますので、他社の渾身の発明である可能性がかなり高いものということができます。

明細書の記載から事業戦略を読み取り、その会社に対してどのようにして優位性を確立するのか、あるいはどのような提携を打診するのかといった自社の事業戦略に活用することができます。

まとめ

これまで述べたように、自社のビジネスを守るための特許戦略・権利取得だけでなく、ニーズやシーズを探索するツールとして特許情報を活用してみてください。