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知財訴訟判決

著作権法

 

発信者情報開示等請求控訴事件

平成20年7月17日  知財高裁  平成20年(ネ)第10009号

刑事訴訟事件の裁判を傍聴した記録をまとめた記述が、「著作物」(著作権法2条1項1号)に該当しないとされた事例。

 

差止等請求控訴事件

平成3年12月17日  東京高裁  平成2年(ネ)第2733号

実用品の模様などとして用いられることのみを目的として制作されたものであっても、高度の芸術性を有し、純粋美術としての性質をも肯認するのが社会通念に沿うものであるときは、著作物に該当すると解することもできるが、本件原画の天然木部分のパターンの組み合わせには、通常の工業上の図案とは質的に異なった高度の芸術性を感得し、純粋美術としての性質を肯認する者は極めて稀であろうと考えられ、社会通念上純粋美術と同視し得るものと認めることはできないとされた事例。

 

損害賠償請求控訴事件

平成13年10月30日  東京高裁  平成13年(ネ)第3427号

交通標語には、著作物性(著作権法による保護に値する創作性)そのものが認められない場合も多く、それが認められる場合にも、その同一性ないし類似性の認められる範囲(著作権法による保護の及ぶ範囲)は、一般に狭いものとならざるを得ず、ときには、いわゆるデッドコピーの類の使用を禁止するだけにとどまることも少なくないとされた事例。

 

損害賠償請求控訴事件

平成27年5月25日  知財高裁  平成26年(ネ)第10130号

原告(控訴人)が作成した図面と被告(被控訴人)図面を比較すると、その基本となる設計与条件に共通する点があるとしても、具体的に表現された図面としては異なるものであるといわざるを得ず、被告図面が原告図面の複製権または翻案権を侵害しているとは認められないとされた事例。

 

著作権侵害行為差止等請求控訴事件

平成27年4月14日  知財高裁  平成26年(ネ)第10063号

実用に供されること又は産業上の利用を目的とすることをもって、直ちに著作物性を一律に否定することは相当ではなく、「美術工芸品」に該当しない応用美術であっても著作権法2条1項1号所定の著作物性の要件を充たすものについては、「美術の著作物」として同法上保護されることがあるとされた事例。

 

著作権不存在等確認及び著作権損害賠償請求上告事件

昭和53年9月7日  最高裁一小法廷  昭和50年(オ)第324号

既存の著作物に接する機会がなく、その存在、内容を知らなかった者が、これと同一性のある作品を作成しても、著作権侵害の責任を負わないとされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成19年12月18日  最高裁三小法廷  平成19年(受)第1105号

昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,平成16年1月1日から施行された著作権法の一部を改正する法律(平成15年法律第85号)による保護期間の延長措置の対象となる同法附則2条所定の「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物」に当たらず,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了した、とされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成23年12月8日  最高裁一小法廷  平成21年(受)第602号

1 我が国について既に効力を生じている文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に我が国が国家として承認していない国が事後に加入した場合において,我が国が同国との間で同条約に基づく権利義務は発生しないという立場を採っているときは,同国の国民の著作物である映画は,同国が上記条約に加入したことによって,著作権法6条3号所定の著作物に当たるとされることはない。
2 著作権法6条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は,同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成しない、とされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成21年10月8日  最高裁一小法廷  平成20年(受)第889号

著作者が自然人である著作物の旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの)による著作権の存続期間については,当該自然人が著作者である旨がその実名をもって表示され,当該著作物が公表された場合には,仮に団体の著作名義の表示があったとしても,同法6条ではなく同法3条が適用され,当該著作者の死亡の時点を基準に定められるとされた事例。

 

所有権侵害禁止請求上告事件

昭和59年1月20日  最高裁二小法廷  昭和58年(オ)第171号

美術の著作物の原作品の所有者でない者が、有体物としての原作品に対する所有者の排他的支配権能をおかすことなく原作品の無体物としての著作物の面を利用しても、原作品の所有権を侵害するものとはいえない。

 

著作権侵害差止等請求事件

昭和63年3月15日  最高裁三小法廷  昭和59年(オ)第1204号

スナック等の経営者が、カラオケ装置と音楽著作物たる楽曲の録音されたカラオケテープとを備え置き、客に歌唱を勧め、客の選択した曲目のカラオケテープの再生による伴奏により他の客の面前で歌唱させるなどし、もつて店の雰囲気作りをし、客の来集を図つて利益をあげることを意図しているときは、右経営者は、当該音楽著作物の著作権者の許諾を得ない限り、客による歌唱につき、その歌唱の主体として演奏権侵害による不法行為責任を免れないとされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成13年3月2日  最高裁二小法廷  平成12年(受)第222号

カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負うとされた事例。

 

著作権侵害差止等請求本訴、同反訴事件

平成12年9月7日  最高裁一小法廷  平成10年(受)第332号

印刷用書体が著作権法二条一項一号にいう著作物に該当するためには、従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性及びそれ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならない。

 

著作権侵害差止請求事件

平成9年7月17日  最高裁一小法廷  平成4年(オ)第1443号

一、漫画の登場人物(いわゆるキャラクター)は著作物に当たらない。
二、二次的著作物の著作権は二次的著作物において新たに付与された創作物部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じない。
三、連載漫画の登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した場合、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても当該登場人物について著作権を主張することはできない。
四 著作権法二一条の複製権を時効取得する要件としての継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につき外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負う。

 

損害賠償請求事件

平成24年2月2日  最高裁一小法廷  平成21年(受)第2056号

1 人の氏名,肖像等を無断で使用する行為がいわゆるパブリシティ権を侵害するものとして不法行為法上違法となる場合
2 歌手を被写体とする写真を同人に無断で週刊誌に掲載する行為がいわゆるパブリシティ権を侵害するものではなく不法行為法上違法とはいえないとされた事例

 

著作権侵害行為差止請求事件

平成14年4月25日  最高裁一小法廷  平成13年(受)第952号

家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は,いったん適法に譲渡された複製物について消尽し,その効力は,当該複製物を公衆に提示することを目的としないで再譲渡する行為には及ばない。

 

損害賠償等請求事件

平成13年6月28日  最高裁一小法廷  平成11年(受)第922号

1 言語の著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
2 思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において既存の言語の著作物と同一性を有するにすぎない著作物を創作する行為は,既存の著作物の翻案に当たらない。

 

著作権侵害差止等請求控訴事件

平成26年10月22日  知財高裁  平成25年(ネ)第10089号

いわゆる自炊代行業者が書籍を裁断し電子ファイル化する行為について、自炊代行業者は利用者の「補助者」ないし「手足」とは言えず、複製行為の主体は自炊代行業者であり、また自炊代行業者について著作権法30条1項の適用はないとされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成1年10月6日  東京地裁  昭和62年(ワ)第1744号

著作権法47条にいう「小冊子」に該当するためには、著作物の解説が主体となっているか又は著作物に関する資料的要素が多いことを必要とし、観覧者に頒布されるものでありカタログの名を付していても、紙質、規格、作品の複製形態等により、鑑賞用の書籍として市場において取引される価値を有するものは、「小冊子」に該当しない。

 

著作権使用差止請求上告事件

平成15年4月11日  最高裁二小法廷  平成13年(受)第216号

いわゆる観光ビザにより我が国に滞在した外国人でアニメーションの企画等を業とする会社において図画を作成したデザイナーが著作権法15条1項にいう「法人等の業務に従事する者」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

 

損害賠償等請求事件

平成13年2月13日  最高裁三小法廷  平成11年(受)第955号

1 パラメータにより主人公の人物像が表現され,その変化に応じてストーリーが展開されるゲームソフトについて,パラメータを本来ならばあり得ない高数値に置き換えるメモリーカードの使用によって,主人公の人物像が改変され,その結果,上記ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開されるなど判示の事実関係の下においては,当該メモリーカードの使用は,上記ゲームソフトを改変し,その著作者の有する同一性保持権を侵害する。
2 専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害をじゃっ起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

 

損害賠償請求上告事件

昭和55年3月28日  最高裁三小法廷  昭和51年(オ)第923号

一 旧著作権法(明治32年法律第39号)30条1項2号にいう「引用」といえるためには、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、前者が主、後者が従の関係があることを要する。
二 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合において、右モンタージュ写真から他人の写真における本質的な特徴自体を直接感得することができるときは、右モンタージュ写真を一個の著作物とみることができるとしても、その作成発行は、右他人の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。

 

損害賠償請求事件

昭和61年5月30日  最高裁二小法廷  昭和58年(オ)第516号

1個の行為により同一著作物についての著作財産権と著作者人格権とが侵害されたことを理由とする著作財産権に基づく慰藉料請求と著作者人格権に基づく慰藉料請求とは両立しうるものであり、両者の賠償を訴訟上併せて請求するときは、訴訟物を異にする2個の請求が併合されているものであるとされた事例。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成23年1月20日  最高裁一小法廷  平成21年(受)第788号

放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器に入力していて,当該機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,当該サービスを提供する者はその複製の主体と解すべきであるとされた事例。

 

出版差止等請求事件

平成13年10月25日  最高裁一小法廷  平成12年(受)第798号

1 甲が各回ごとの具体的なストーリーを創作し,これを小説形式の原稿にし,乙において,漫画化に当たって使用することができないと思われる部分を除き,その原稿に基づいて漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作された連載漫画は,同原稿を原著作物とする二次的著作物である。
2 二次的著作物である連載漫画の原著作物である原稿の著作者は,同連載漫画の著作者に対し,同連載漫画の主人公を描いた絵画を合意によることなく作成し,複製し,又は配布することの差止めを求めることができる。

 

著作権侵害差止等請求事件

平成23年1月18日  最高裁三小法廷  平成21年(受)第653号

1 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。
2 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置が,公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体である。

 

損害賠償請求控訴事件

平成22年10月13日  知財高裁  平成22年(ネ)第10052号

著作権法32条1項にいう「引用」としての利用に当たるか否かの判断においては、他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならないとされた事例。

 

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