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知財訴訟判決

特許法・実用新案法

 

審決取消請求事件

平成20年8月26日 知財高裁 平成20年(行ケ)第10001号

発音から単語を検索できる英語辞書を引く方法の発明は自然法則を利用した技術的思想の創作ではなく、特許法2条1項所定の発明に当たらず、同法29条1項柱書きの規定により特許を受けることができないとした。

 

審決取消請求上告事件

昭和52年10月13日 最高裁一小法廷 昭和49年(行ツ)第107号

「発明」といえるためには、当該技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度までに具体的・客観的なものして構成されていなければならないとした。

 

審決取消請求事件

平成12年2月29日 最高裁三小法廷 平成10年(行ツ)第19号

「発明」といえるためには、当該技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度までに具体的・客観的なものして構成されていなければならないとした。

 

審決取消請求事件

平成14年 4月11日 東京高裁 平成12年(行ケ)第65号

「産業上利用することができる発明」に、医療行為は該当しないとした。

 

審決取消請求事件

平成 1年11月10日 最高裁二小法廷 昭和61年(行ツ)第160号

特許法30条1項にいう「刊行物に発表」するとは、自ら主体的に刊行物に発表した場合をいい、発明の公開特許公報への掲載はこれに該当しないとした。

 

審決取消請求事件

昭和51年4月30日 最高裁二小法廷 昭和51年(行ツ)第9号

出願後の刊行物によって出願時の技術水準の認定をすることは許されるとした。

 

特許取消決定取消請求事件

平成17年11月11日 知財高裁 平成17年(行ケ)第10042号

サポート要件に適合するための要件の提示と、出願後に実験データを提出し、明細書の記載内容を記載外で補足し、サポート要件に適合させることは発明の公開を前提に特許を付与するとする特許制度の趣旨に反し許されないとした。

 

特許権侵害差止等請求事件

平成4年10月23日 東京地裁 平成2年(ワ)第12094号

用途発明にあっては、既知の物質と未知の用途との結びつきのみが発明を構成するものであること、そして用途発明を構成する物質の用途が、当該用途と他用途がいわば不可分一体なものとなっている場合は、他用途にまで特許発明の技術的範囲が及ぶことも甘受せざるを得ないとした。

 

審決取消請求事件

平成18年1月25日 知財高裁 平成17年(行ケ)第10437号

特許法29条の2は、先願主義を拡大した規定であり、後願登録後に先願が公開された場合であっても後願に係る特許権を遡及消滅させるべきことを法が予定していると解すべきであるとした。

 

特許出願人名義変更届手続請求事件

平成13年6月12日 最高裁三小法廷 平成9年(オ)第1918号

特許出願をした特許を受ける権利の共有者の1人から同人の承継人と称して特許権の設定の登録を受けた無権利者に対する当該特許権の持分の移転登録手続請求が認められた事例。

 

特許庁審決取決請求上告事件

昭和37年12月7日 最高裁二小法廷 昭和36年(オ)第464号

特許権の範囲確認審決に対する訴えにおいては、特許出願当時の技術水準を考慮して判断すべきであるとした。

 

審決取消請求上告事件

昭和55年12月18日 最高裁一小法廷 昭和53年(行ツ)第101号

明細書の「特許請求の範囲」に記載されず「発明の詳細なる説明」又は図面に記載されている発明を目的とする分割出願は認められるとした。

 

模造品製造差止等請求事件

昭和63年7月19日 最高裁三小法廷 昭和61年(オ)第30号

補正が、願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正前の登録請求の範囲を減縮するものであつて、第三者の実施している物品が補正の前後を通じて考案の技術的範囲に属するときは、右補正の後に再度の警告等により第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要しないと解するのが相当であるとした。

 

補償金請求事件

平成15年4月22日 最高裁三小法廷 平成13年(受)第1256号

「職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させた従業者等が勤務規則その他の定めによる対価の額が特許法35条3項及び4項の規定に従って定められる相当の対価の額に満たないときに不足額を請求すること」ができるとした。

 

補償金請求事件

平成18年10月17日 最高裁三小法廷 平成16年(受)第781号

1 外国の特許を受ける権利の譲渡の対価に関する問題の準拠法は,法例7条1項の規定により,第1次的には当事者の意思に従って定められる。
2 従業者等が特許法(平成16年法律第79号による改正前のもの)35条にいう職務発明に係る外国の特許を受ける権利を使用者等に譲渡した場合において,当該外国の特許を受ける権利の譲渡に伴う対価請求については,同条3項及び4項の規定が類推適用されるとした。

 

審決取消請求上告事件

昭和47年12月14日 最高裁一小法廷 昭和41年(行ツ)第1号

明細書中の特許請求の範囲における誤記の訂正が実質上特許請求の範囲を拡張するものとして許されないとされた事例。

 

審決取消請求事件

平成20年5月30日 知財高裁 平成18年(行ケ)第10563号

特許請求の範囲は「ただし、…を除く」などのいわゆる「除くクレーム」によって訂正を行う場合、「明細書又は図面の記載によって開示された技術的事項に対し、新たな技術的事項を導入しないものであると認められる限り、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」する訂正であるというべきである。」とした。

 

審決取消請求事件

昭和59年3月13日 最高裁三小法廷 昭和54年(行ツ)第134号

特許を無効にする審決が適法な理由の記載を欠くとして違法とされた事例

 

審決取消請求上告事件

昭和51年3月10日 最高裁大法廷 昭和42年(行ツ)第28号

特許無効の抗告審判で審理判断されなかつた公知事実との対比における特許無効原因を審決取消訴訟において主張することは、許されないとした。

 

審決取消請求上告事件

昭和55年1月24日 最高裁一小法廷 昭和54年(行ツ)第2号

実用新案登録無効の審決取消訴訟において、審判の手続で審理判断されていた刊行物記載の考案のもり意義を明らかにするため、審判の手続に現れていなかつた資料に基づき当該実用新案登録出願当時における当業者の技術常識を認定することは許されるとした。

 

審決取消請求事件

平成4年4月28日 最高裁三小法廷 昭和63年(行ツ)第10号

①特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされ、その拘束力に従って同一引用例から右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決がされた場合、その取消訴訟において、同一引用例から右発明を容易に発明することができることを主張立証することは、許されないとした。

 

特許取消決定取消請求上告事件

平成20年7月10日 最高裁一小法廷 平成19年(行ヒ)第318号

 特許異議申立事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであり,一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に適合しないことのみを理由として,他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されないとした。

 

審決取消請求事件

平成18年1月30日 知財高裁 平成17年(行ケ)第10842号

訂正審判請求における訂正内容、当事者の意見、その他本件に関する諸事情にかんがみ、本件特許を無効とすることについて特許無効審判においてさらに審理させることが相当とした。

 

審決取消請求事件

平成11年3月9日 最高裁三小法廷 平成7年(行ツ)第204号

平成五年法律第二六号による改正前の特許法の下において、無効審決取消訴訟の係属中に当該特許権について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には、当該無効審決は取り消されなければならないとした。

 

審決取消請求事件

平成14年2月22日 最高裁二小法廷 平成13年(行ヒ)第142号

 商標権の共有者の1人は,当該商標登録を無効にすべき旨の審決がされたときは,単独で無効審決の取消訴訟を提起することができるとした。

 

審決取消請求上告事件

平成7年3月7日 最高裁三小法廷 平成6年(行ツ)第83号

実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟であるとした。

 

審決取消請求事件

平成12年1月27日 最高裁一小法廷 平成7年(行ツ)第105号

甲無効審判請求がされた後に当該特許について同一の事実及び同一の証拠に基づく乙無効審判請求が成り立たない旨の確定審決の登録がされたとしても、甲無効審判請求が不適法となるものではないとした。

 

審決取消請求事件

平成14年9月17日 最高裁三小法廷 平成13年(行ヒ)第7号

商標法56条1項において準用する特許法153条2項所定の手続を欠くという瑕疵がある場合であっても,当事者の申し立てない理由について審理することが当事者にとって不意打ちにならないと認められる事情のあるときは,上記瑕疵は,審決を取り消すべき違法には当たらないとした。

 

登録実用新案の技術的範囲についての判定に対する行政不服審査法による異議申立についての裁決取消請求

昭和43年4月18日 最高裁一小法廷 昭和42年(行ツ)第47号

特許発明または実用新案の技術的範囲についての判定は、特許庁のたんなる意見の表明であつて、鑑定的性質を有するにとどまるとした。

 

特許権侵害予防請求事件

平成11年7月16日 最高裁二小法廷 平成10年(オ)第604号

①方法の発明に係る特許権に基づき、当該方法を使用して品質規格を検定した物の製造販売の差止めを請求することはできないとした。 ②特許法一〇〇条二項にいう「侵害の予防に必要な行為」は、特許発明の内容、現に行われ又は将来行われるおそれがある侵害行為の態様、特許権者が行使する差止請求権の具体的内容等に照らし、差止請求権の行使を実効あらしめるものであって、かつ、差止請求権の実現のために必要な範囲内のものであることを要するとした。 ③方法の発明に係る特許権を侵害する行為が医薬品の品質規格の検定のための確認試験において当該方法を使用する行為であって、侵害差止請求としては当該方法の使用の差止めを請求することができるにとどまるという事情の下においては、右医薬品の廃棄及びこれについての薬価基準収載申請の取下げは、差止請求権の実現のために必要な範囲を超えるものであって、特許法一〇〇条二項にいう「侵害の予防に必要な行為」に当たらないとした。

 

特許権侵害差止請求控訴事件

平成24年1月27日 知財高裁 平成22年(ネ)第10043号

プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲について、物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在しない場合は、その技術的範囲はクレームに記載された製造方法に限定されるとした。

 

特許権侵害差止請求事件

平成27年6月5日 最高裁二小法廷 平成24年(受)第1204号

 ①物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるとした。 ②物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られるとした。

 

医薬品販売差止請求事件

平成11年4月16日 最高裁二小法廷 平成10年(受)第153号

特許権の存続期間終了後に特許発明に係る医薬品と有効成分等を同じくするいわゆる後発医薬品を製造販売することを目的として、薬事法14条所定の製造承認を申請するため、特許権の存続期間中に特許発明の技術的範囲に属する化学物質又は医薬品を生産し、これを使用して製造承認申請書に添付すべき資料を得るのに必要な試験を行うことは,特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるとした。

 

審決取消請求請求事件

平成23年4月28日 最高裁一小法廷 平成21年(行ヒ)第326号

特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった薬事法14条1項による製造販売の承認に先行して、当該承認の対象となった医薬品と有効成分並びに効能及び効果を同じくする医薬品について同項による製造販売の承認がされている場合であっても、その医薬品が延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しないときは、当該先行する承認がされていることを根拠として、当該特許権の特許発明の実施に延長登録出願の理由となった承認を受けることが必要であったとは認められないということはできないとした。

 

審決取消請求事件

平成26年5月30日 知財高裁 平成25年(行ケ)第10195号

審査官(審判官)が当該出願を拒絶するためには、①「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」(第1要件)、又は、②「『政令で定める処分を受けたことによって禁止が解除された行為』が『その特許発明の実施に該当する行為』には含まれないこと」(第2要件)のいずれかを選択的に論証することが必要となるとした。

 

審決取消請求事件

平成27年11月17日 最高裁三小法廷 平成26年(行ヒ)第356号

審査官(審判官)が当該出願を拒絶するためには、①「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」(第1要件)、又は、②「『政令で定める処分を受けたことによって禁止が解除された行為』が『その特許発明の実施に該当する行為』には含まれないこと」(第2要件)のいずれかを選択的に論証することが必要となるとした。

 

特許権侵害差止等請求事件

平成9年7月1日 最高裁三小法廷 平成7年(オ)第1988号

我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において当該特許発明に係る製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、その後の転得者に対しては譲受人との間で右の旨を合意した上当該製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権に基づき差止請求権損害賠償請求権等を行使することはできないとした。

 

特許権侵害差止等請求事件

平成12年8月31日 東京地裁 平成8年(ワ)第16782号

特許製品がその効用を終えた後においては、特許権者は、当該特許製品について特許権を行使することが許されるものと解するのが相当であ るとして、原告商品「使い捨てカメラ」の使用済みケースにフィルムを詰め替えて、これを販売した被告の行為が、原告特許権等を侵害するとされました。

 

特許権侵害差止請求事件

平成19年11月8日 最高裁一小法廷 平成18年(受)第826号

特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し、特許権の効力は、当該特許製品の使用、譲渡等には及ばず、特許権者は、当該特許製品について特許権を行使することは許されないとした。

 

審決取消請求上告事件

平成3年3月8日 最高裁二小法廷 昭和62年(行ツ)第3号

特許の要件を審理する前提としてされる特許出願に係る発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなど、発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきであるとした。

 

特許権侵害差止等請求事件

平成10年2月24日 最高裁三小法廷 平成6年(オ)第1083号

明細書の特許請求の範囲に記載された構成中に他人が製造等をする製品又は用いる方法と異なる部分が存する場合であっても、右部分が特許発明の本質的部分ではなく、右部分を右製品等におけるものと置き換えても特許発明の目的を達することができ同一の作用効果を奏するものであって、右のように置き換えることに当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が右製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、右製品等が特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は右の者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、右製品等が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、右製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解すべきであるとした。

 

特許権侵害差止請求事件

平成12年3月23日 東京地裁 平成10年(ワ)第11453号

特許発明の本質的部分とは、特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで、当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分、言い換えれば、右部分が他の構成に置き換えられるならば、全体として当該特許発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分をいうものと解するのが相当であるとした。

 

債務不存在確認請求事件

平成12年4月11日 最高裁三小法廷 平成10年(オ)第364号

特許に無効理由が存在することが明らかであるときは、その特許権に基づく差止め、損害賠償等の請求は、特段の事情がない限り、権利の濫用に当たり許されないとした。

 

特許権に基づく製造販売禁止等請求事件

平成20年4月24日 最高裁一小法廷 平成18年(受)第1772号

特許法104条の3第1項に基づく無効主張を採用して請求を棄却すべきものとする控訴審判決がされた後に、上記特許権に係る特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める審決が確定した場合において、同審決が確定したため民訴法338条1項8号の再審事由が存するとして控訴審の判断を争うことは本件事情の下においては紛争の解決を不当に遅延させるものとして特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されないとした。

 

特許権等侵害行為差止等請求事件

平成12年10月24日 大阪地裁 平成8年(ワ)第12109号

日本国外において、日本で特許を受けている発明の技術的範囲に属する方法を使用してその価値を利用しても、日本の特許権を侵害することにはならない。それは、日本における特許権が、日本の主権の及ぶ日本国内においてのみ効力を有するにすぎないことに伴う内在的な制約によるものであり、このような見地から、特許法2条3項にいう「実施」は、日本国内におけるもののみを意味すると解すべきであり、「その発明の実施にのみ使用する物」における「実施」は、日本国内におけるものに限られると解するとした。

 

特許権侵害差止請求控訴事件

平成17年9月30日 知財高裁 平成17年(ネ)第10040号

特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは、典型的には、ねじ、釘、電球、トランジスター等のような日本国内において広く普及している一般的な製品、すなわち、特注品ではなく、他の用途にも用いることができ市場において一般に入手可能な状態にある規格品、普及品を意味するものと解するのが相当であるとし、本件の控訴人製品は、本件発明の構成を有する物の生産にのみ用いる部分を含むものでるから、同号にいう「日本国内において広く一般に流通しているもの」に当たらないというべきであるとした。

 

特許権侵害差止等本訴,損害賠償反訴請求控訴事件

平成25年2月1日 知財高裁 平成24年(ネ)第10015号

特許法102条2項の適用に当たり、同項は、損害額の立証の困難性を軽減する趣旨で設けられたものであり、また、推定規定であることに照らすならば、同項を適用するに当たって、殊更厳格な要件を課すことは妥当を欠くというべきで、特許権者において当該特許発明を実施していることを要件とするものではないというべきとした。

 

先使用権確認等請求本訴、特許権・専用実施権に基づく差止・損害賠償請求反訴

昭和61年10月3日 最高裁二小法廷 昭和61年(オ)第454号

①特許法七九条にいう発明の実施である事業の準備とは、特許出願に係る発明と同じ内容の発明につき即時実施の意図があり、かつ、その意図が客観的に認識されうる態様、程度において表明されていることをいうとした。 ②先使用による通常実施権は、特許出願の際に当該通常実施権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく、これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更された実施形式にも及ぶとした。

 

意匠権侵害排除、損害賠償請求上告事件

昭和44年10月17日 最高裁二小法廷 昭和41年(オ)第1360号

①旧意匠法(大正一〇年法律第九八号)九条にいう「其ノ意匠実施ノ事業ヲ為シ」とは、当該登録意匠につき同条による実施権を主張する者が、自己のため、自己の計算において、その意匠実施の事業をすることを意味し、かつ、それは、その者が、自己の有する事業設備を使用し、みずから直接に右意匠にかかる物品の製造、販売等をする場合だけではなく、その者が、事業設備を有する他人に注文して、自己のためにのみ右意匠にかかる物品を製造させ、その引渡を受けて、これを他に販売する場合をも含むとした。 ②第三者が、当該登録意匠につき旧意匠法(大正一〇年法律第九八号)九条による実施権を有する者からの注文に基づき、もつぱらその者のためにのみ右意匠にかかる物品の製造、販売等をしているにすぎないときは、その第三者のする右物品の製造、販売等の行為は、右実施権を有する者の権利行使の範囲内に属するとした。

 

コンクリートブロツク製造販売差止権不存在確認請求控訴事件、附帯控訴事件

昭和42年12月26日 札幌高裁 昭和41年(ネ)第173号

将来において先使用による実施権者たり得べき地位の譲渡は、特許法第94条の趣旨に則り、許されるとした。

 

特許権の通常実施権設定登録等請求上告事件

昭和48年4月20日 最高裁二小法廷 昭和47年(オ)第395号

特許権者から許諾による通常実施権の設定を受けても、その設定登録をする旨の約定が存しないかぎり、実施権者は、特許権者に対し、右権利の設定登録手続を請求することはできないとした。

 

損害賠償等請求事件

昭和59年12月20日 大阪地裁 昭和57年(ワ)第7035号

完全独占的通常実施権に基づく差止請求権は認められないが、同権利に基づく損害賠償請求は認められるとした。

 

特許権侵害差止請求事件

平成17年6月17日 最高裁二小法廷 平成16年(受)第997号

特許権者は,その特許権について専用実施権を設定したときであっても,当該特許権に基づく差止請求権を行使することができるとした。

 

債務不存在確認請求控訴事件

平成26年5月16日 知財高裁 平成25年(ネ)第10043号

FRAND宣言に至る過程やライセンス交渉過程等で現れた諸般の事情を総合した結果、当該損害賠償請求権が発明の公開に対する対価として重要な意味を有することを考慮してもなお、ライセンス料相当額の範囲内の損害賠償請求を許すことが著しく不公正であると認められるなど特段の事情が存することについて、相手方から主張立証がされた場合には、権利濫用としてかかる請求が制限されることは妨げられないというべきであるとした。

 

秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

平成21年1月27日 最高裁三小法廷 平成20年(許)第36号

特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は、特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し、本件仮処分事件においても同項に基づく秘密保持命令の申立てをすることが許されるとした。

 

実用新案権に基づく製作販売差止請求上告事件

昭和56年6月30日 最高裁三小法廷 昭和54年(オ)第336号

考案の技術的範囲に属するか否かの判断に当たつて製造方法の相違を考慮の中に入れることはできないとした。

 

実用新案技術評価取消請求控訴事件

平成12年5月17日 東京高裁 平成12年(行コ)第22号

実用新案技術評価は、行政事件訴訟法3条2項の「処分」にあたらないとした。

 

実用新案登録願不受理処分取消請求事件

昭和46年1月29日 東京地裁 昭和45年(行ウ)第106号

たまたま願書に図面が添付されていなかつたからといつて、その願書をもつて、願書としての本質的要件を缺くものとして、補正を命ずることなく、ただちに不受理処分をすることは正当ではないといえるとした。

 

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