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知財訴訟判決

不正競争防止法

 

模造品製造差止等請求事件

昭和63年7月19日  最高裁三小法廷  昭和61年(オ)第30号・第31号

旧不正競争防止法1条1項1号の周知性を具備すべき時点について、差止請求については事実審の口頭弁論終結時、損害賠償請求については損害賠償請求の対象とされている類似の商品表示の使用等をした各時点において、周知性を備えていることを要し、かつ、これをもって足りるとした。

 

不正競争行為差止請求事件

平成5年12月16日  最高裁一小法廷  平成5年(オ)第1507号

旧不正競争防止法1条1項2号にいう広く認識された他人の営業であることを示す表示には、第三者により特定の営業主体の営業であることを示す表示として用いられ、当該営業主体の営業であることを示す表示として広く認識されるに至ったものも含まれるとした。

 

商号使用差止等請求上告事件

昭和58年10月7日  最高裁二小法廷  昭和57年(オ)第658号

① ある営業表示が旧不正競争防止法1条1項2号にいう他人の営業表示と類似のものか否かを判断するに当たっては、取引の実情のもとにおいて、取引者、需要者が、両者の外観、称呼、又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するとした。
② 旧不正競争防止法1条1項2号にいう「混同ヲ生ゼシムル行為」は、他人の周知の営業表示と同一又は類似のものを使用する者が同人と右他人とを同一営業主体として誤信させる行為のみならず、両者間にいわゆる親会社、子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係が存するものと誤信させる行為をも包含するとした。

 

不正競争行為差止等請求本訴、損害賠償請求反訴上告事件

昭和59年5月29日  最高裁三小法廷  昭和56年(オ)第1166号

① ある商品表示が旧不正競争防止法1条1項1号所定の他人の商品表示と類似のものにあたるか否については、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するとした。
② 旧不正競争防止法1条1項1号又は2号所定の他人には、特定の表示に関する商品化契約によって結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することができるようなグループも含まれるとした。
③ 旧不正競争防止法1条1項1号又は2号所定の混同を生ぜしめる行為には、周知の他人の商品表示又は営業表示と同一又は類似のものを使用する者が、自己と右他人との間に同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存するものと誤信させる行為をも包含し、混同を生ぜしめる行為というためには両者間に競争関係があることを要しないとした。
④ 旧不正競争防止法1条1項柱書所定の営業上の利益を害されるおそれがある者には、周知表示の商品化事業に携わる周知表示の使用許諾者及び許諾を受けた使用権者であって、同項1号又は2号に該当する行為により、再使用権者に対する管理統制、周知表示による商品の出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を害されるおそれのある者も含まれるとした。

 

不正競争行為禁止請求事件

平成10年9月10日  最高裁一小法廷  平成7年(オ)第637号

不正競争防止法2条1項1号に規定する「混同を生じさせる行為」は、広義の混同惹起行為をも包含するとした。

 

不正競争行為禁止請求事件

平成10年9月10日  最高裁一小法廷  平成7年(オ)第637号

不正競争防止法2条1項1号に規定する「混同を生じさせる行為」は、広義の混同惹起行為をも包含するとした。

 

名称使用差止等請求事件

平成18年1月20日  最高裁二小法廷  平成17年(受)第575号

不正競争防止法2条1項1号にいう「営業」は、取引社会における競争関係を前提とするものとして解釈されるべきであり,宗教法人の本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある事業を含まないとした。

 

不正競争防止法に基づく差止請求上告事件

昭和56年10月13日  最高裁三小法廷  昭和54年(オ)第145号

旧不正競争防止法1条1項1号にいう商品の混同の事実が認められる場合には、特段の事情がない限り、営業上の利益を害されるおそれがあるとした。

 

不正競争行為差止等請求控訴事件

平成10年2月26日  東京高裁  平成8年(ネ)第6162号

不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」に関して、作り出された商品の形態が既に存在する他人の商品の形態と相違するところがあっても、その相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるというべきであるが、当該改変の着想の難易、改変の内容・程度、改変による形態的効果等を総合的に判断して、当該改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえないとした。

 

不正競争防止法違反被告事件

昭和53年3月22日  最高裁一小法廷  昭和50年(あ)第1277号

級別の審査・認定を受けなかったため酒税法上清酒二級とされた商品であるびん詰の清酒に清酒特級の表示証を貼付する行為は、たとえその清酒の品質が実質的に清酒特級に劣らない優良のものであっても、旧不正競争防止法5条1号違反の罪を構成するとした。

 

不正競争防止法違反被告事件

昭和35年4月6日  最高裁大法廷  昭和33年(あ)第342号

旧不正競争防止法5条2号にいう「不正ノ競争ノ目的」とは、公序良俗、信義衡平に反する手段によって、他人の営業と同種または類似の行為をなし、その者と営業上の競争をする意図をいうものと解するを相当とする。そして、そのような不公正な競争の意図をもって、同法1条1号または2号に該当する行為がなされることは、ただに被害者たる他の営業者に対する不法な行為であるに止まらず、業界に混乱を来たし、ひいて経済生活一般を不安ならしめるおそれがあると認められ、このことは、所論のような両者の営業規模の大小にはかかわらないものというべきである。それ故、前記のような行為に必要な規制を加え、その違反者を処罰することは、公共の福祉を維持するために必要あるものであって、憲法22条に違反するものではない。

 

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