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著作物使用料 鬼滅主題歌1位~利用許諾なく著作権を使用できる場合とは~

ニュースの概要

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、2020年度に著作物使用料を最も多く分配した国内作品は、アニメ「鬼滅の刃」の主題歌で、歌手LiSAさんが歌う「紅蓮華」だったと発表しました。分配額の合計は約1206億円で過去最高額を更新しました。

著作物使用料を支払って音楽を利用する仕組み

「紅蓮華」は著作権で保護されているので、利用にあたって著作物使用料を支払う必要があります。

つまり、著作物使用料の分配が多いということは、それだけJASRAC経由での楽曲利用が多いということを表しています。

今回は著作物使用料についてとりあげましたが、一般に有償・無償を問わず著作物を利用するときには原則として事前に著作権者から利用許諾を得る(利用手続き)ことになります。

「創作した人」の権利である著作権と、アーティスト(実演家)・レコード製作者・放送事業者など「伝える人」の権利である著作隣接権は、別の権利であり、利用の方法によっては同時に働くことがあります。

例えば、CDや音楽配信など市販されている音源には、①作詞者・作曲者などの著作権、②アーティスト(実演家)の著作隣接権、③レコード製作者の著作隣接権の3つの権利が含まれており、市販されている音源を利用する場合には三者への利用手続きが必要な場合があります。

許諾を得ることなく利用できる場合

著作権法には、著作権が保護される期間や著作権が制限される場合が規定されています。保護の期間を過ぎたり、著作権が制限される場合にあたれば著作権者の許諾は不要です。

・著作権の保護期間(著作権法51条~58条)満了

創作と同時に発生し、原則として著作者が亡くなって70年(死亡年の翌年の1月1日から70年)が経過すると消滅します。保護期間が満了した著作物は、著作権者の許諾なく利用できます。

なお、無名・変名・団体名義の著作物(公表後70年)、映画(公表後70年)などの例外があります。

・著作権の制限①:営利を目的としない上演等(著作権法38条)

高校の文化祭で生徒が開催するコンサートのように、次の3つの要件を“すべて満たす”場合、著作権者の許諾を得なくても上演・演奏・上映することができます(録音・録画やインターネット配信するときには適用外です)。

ⅰ営利を目的としないこと

ⅱ聴衆又は観衆から料金を受けないこと

ⅲ実演家に報酬が支払われないこと

・著作権の制限②:私的使用のための複製(著作権法30条)

個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的で、使用する本人がコピーする場合、著作権者の許諾を得ずにコピーすることができます。

ただし、違法にインターネット上にアップロードされたものと知りながら著作物をダウンロードする場合など、私的使用のための複製であっても違法となる場合があります 。

著作権やJASRACという存在は私たちの身近にあるからこそつい忘れてしまうこともあるかもしれません。うっかり無断で他人の権利を使用してしまった、といったことが無いように気を付けたいですね。

配信元:https://this.kiji.is/767635905301512192?c=302675738515047521