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NTTドコモの特許を分析したらトヨタのスマートシティ構想が見えてきた!【特許分析】

近年、特許は企業競争力を左右する戦略的な資産となっており、多くの企業が特許出願や特許権管理に力を入れています。企業戦略においてますます重要性を増す特許ですが、特許出願がなされると公開されるため、誰でもその情報を見ることができます。

NTTドコモは、言わずと知れた日本国内において最大手の携帯電話キャリアです。その通信技術を基にNTTドコモは、さまざまなサービスを提供しており、携帯電話料金支払い、電子マネー、クラウドサービスなど、多様なニーズに応えることができます。本記事では、同社の特許出願状況について分析することで、技術開発や製品開発に関する最新の取り組みを探っていきます。

まずは企業を検索

企業の検索では、Tokkoy.ai( https://www.tokkyo.ai/ )の上部に表示される検索窓の左の項目から「企業IP」を選択してください。そして企業名を入れて検索すると、関連する企業が得られます。今回は「NTT」と検索しました。

こちらの「NTTドコモ」をクリックすると以下のように様々な企業情報を見ることが出来ます。

「保有知的財産権リスト」や「出願特許産業分布」のほか、資本金や従業員数などの「法人情報」や、売上高や純資産額、経常利益、当期純利益などの「財務情報」を見ることができます。さらには従業員の男女比率といった情報まで見ることが出来ます。

「出願特許産業分布」を見てみると、通信に関わる「通信機械器具・同関連機械器具製造業」や「電子計算機・同付属装置製造業」、インターネットに関わる「情報サービス・インターネット付随サービス業」に関する特許が多いことが見受けられます。「保有知的財産リスト」を見ると特許が1万6000件以上にものぼり、それと比較すると「意匠」「商標」の数はそれぞれ1000件未満、2000件ほどにとどまっています。知財の中でも特許に非常に注力していることがわかります。

詳しい出願状況の分析

「知的財産権分析」タブをクリックし、「特許分野別現況分析」から、企業が保有する知的財産について様々な方法で分析することが出来ます。

こちらではIPC分類をベースにした技術分野別の出願数を見ることができます。

ここから、企業の主力産業に関わる技術分野を見てみるもよし、あるいは意外な技術分野の特許を見てみるもよし、気になる技術分野を選択することで、その分野の特許に絞り込んで調べることが出来ます。

グラフの表示を変えることで様々な角度から出願傾向などを分析することが出来ます。

出願している技術分野について円グラフを基に見てみましょう。

予想通り、無線通信を中心とした電気工学分野での出願が多いことがわかります。

次に共同出願についてみてみましょう。

1991年にNTTドコモが設立された当時は親会社である日本電信電話株式会社(NTT)との共同出願が多かったことが見受けられます。それ以降、多くの通信会社等との共同出願が多いことがわかります。2020年になるとトヨタ自動車との共同出願が主になっていることがわかります。

特定分野を分析

先ほど共同出願を分析したところ、「トヨタ自動車」との共同出願が近年急激に伸びていることがわかりました。そこで今回はどのような特許を共同出願しているのか見てみます。

「保有知的財産権」から「検索結果フィルタ」を選択することで、保有する知的財産を簡単に絞り込み検索することが出来ます。

また、検索窓より「トヨタ自動車株式会社*株式会社NTTドコモ」と検索します。「AND検索」を行うことで、各社どちらもが記載されている特許に絞り込み、検索することが出来ます。

上図のように結果が得られました。この時に「リスト」を選択し、「デフォルト表示」から「リスト表示」に変更することで、要約が示されるようになり効率よく特許情報について調べることが出来るようになります。

次に「検索結果の分析」から「技術分野分析」を選択し、技術の活用産業を可視化してみます。


「eコマース」が11件と最も多く電気工学分野を中心として、機構制御などの「器械」分野や環境技術、さらには家具、ゲーム分野も出願しているのがわかります。

最も出願件数の多い「eコマース」分野を選択し絞り込んで、特許を見てみます。

これらの特許は、トヨタ自動車と株式会社NTTドコモによって提案された、テーマパークや来場者の体験に関連するシステムや方法に関連しています。「トヨタ×NTTドコモ」でテーマパーク事業でも行うのでしょうか。もしかしたら、トヨタのスマートシティ「ウーブンシティ」で活用される技術の発明であるかもしれません。

移動を通じて来場者の入退場を管理、効率的な移動経路、目的地の提供、移動中の負担軽減を目的とした特許が多く出願されていることがわかります。さらには食事をドローンで配送するサービスに関する特許も存在していることがわかります。トヨタとNTTドコモは近未来的な都市を目指していることが特許情報からわかります。

これらの特許の中に「キャラクタ成長ゲームシステム」という気になる特許を発見しました。

要約をみてみると
『本発明は、所定地域へのリピーター増加を図るためのキャラクタ成長ゲームシステムを提供します。プレーヤーがテーマパークに入場すると、事前に登録した映画や物語のキャラクタが携帯端末に表示されます。プレーヤーがテーマパーク内のアトラクション空間を歩く歩数に応じて、表示されるキャラクタが成長します。プレーヤーがテーマパークを出ると、キャラクタの表示が停止します。このシステムにより、所定地域へのリピーターを増やすことができます。』
と表示されています。

テーマパーク内でのみ成長するキャラクタを育成することを目的として、リピーターを増やすというものです。意外にもトヨタとNTTドコモで、共同でこのような技術を発明しているのですね。

テーマパークとはどこを指しているのか非常に気になるばかりです。

右上に4つ並んでいるアイコンの、右から2つめのアイコンをクリックして「お気に入りに追加」し、いつでも見ることができるようにしました。

また、左から1つめのアイコンをクリックして「共有」し、社内の人へ紹介することができました。

参考記事:『審査経過情報から重要特許を炙り出す』

まとめ

Tokkyo.Aiの分析機能を活用することで企業の最新の動向を特許から推測することができました。注目している企業や業界全体の技術動向を分析でき、自社の戦略を立てるのにも役立ちます。ぜひさまざまな企業の技術分析にお役立てください。

参考記事:『特許からみえてくる「トヨタ」の意外な特許出願【企業分析】』

参考記事:『資生堂がゲームを開発していた!特許から見えてくる意外な情報【企業分析】』

参考記事:『無料の新しい特許検索エンジン「Tokkyo.Ai」で競合企業をチェックする方法』