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【アイデアの壁打ち】ChatGPTを活用したブレインストーミングと著作権侵害等の注意点

OpenAI社が開発したChatGPTについて、世界の関心は「どのように活用できるか」に向けられており、日々その可能性が模索されています。

今回は、ChatGPTの活用方法のうち、指示や条件を入力して様々なアイデアを得るブレインストーミングの方法を紹介します。もっとも、これは著作権侵害等の法的問題を生じ得るため、記事の後半では著作権法上の注意点も解説します。

ChatGPTを活用したブレインストーミング方法

ChatGPTに目的や要望、条件などを入力することで、指定に応じたアイデアが生成されます。

〈具体的な活用例〉

「リモートワークに関する商品開発を目的としたブレインストーミングを行います。家でリモートワークをする際の環境をより良くし、リモートワークの効率性を向上させる新商品に関するアイデアをいくつか出してください。それぞれのアイデアについて、現状の問題点と、それをどのように解決するかを説明してださい。」と入力すると、以下のような回答が得られました。

以下に、リモートワークに関する商品開発のためのアイデアをいくつか提案します。

1. 「リモートワークエルゴノミクスチェア」:

現状の問題点: 家庭でのリモートワークでは、快適な座り心地や適切な姿勢を維持することが難しい場合があります。長時間のデスクワークによる姿勢の悪さや腰痛などの健康問題が懸念されます。

解決策: リモートワークエルゴノミクスチェアは、適切な姿勢をサポートし、快適な座り心地を提供します。調節可能な背もたれや座面、腰部支持などの機能を備え、ユーザーの身体的なニーズに合わせて調整できます。さらに、姿勢の改善や適切な座り方に関するアドバイスを提供する専用のアプリと連携することで、健康的なリモートワーク環境を促進します。

2. 「スマートリモートワークデスク」:

現状の問題点: リモートワークでは、作業スペースの不足や効率的な作業環境の構築が課題となります。デスク上の散らかりやすさやワイヤーの取り回しの難しさも懸念されます。

解決策: スマートリモートワークデスクは、コンパクトで使いやすい作業スペースを提供します。デスク上には整理できる収納スペースやワイヤーマネジメントシステムが備わっており、電源やデバイスの充電に便利です。また、スマートデスクアプリと連携することで、デスク上の効率的なレイアウトや作業時間の管理、通知機能などを提供します。

3. 「ノイズキャンセリングオフィスポッド」:

現状の問題点: 家庭でのリモートワークでは、外部の騒音や家族の声などのノイズが集中力や生産性に影響を与えることがあります。

解決策: ノイズキャンセリングオフィスポッドは、静かな作業環境を提供するためのプライベートな空間です。このポッドは、外部の騒音を効果的に遮断し、内部の音量を調整できるように設計されています。また、快適な照明や空調システム、疲労軽減のためのエルゴノミクス設計も取り入れられています。

これらのアイデアは、現在のリモートワーク環境に関連する問題を解決するために設計されています。リモートワークエルゴノミクスチェアは、健康的な姿勢と快適性を重視し、スマートリモートワークデスクは、効率的な作業環境を提供します。ノイズキャンセリングオフィスポッドは、静かな環境を確保し、集中力を高めます。これらの商品は、リモートワーカーの生産性と福利厚生を向上させることが期待されます。

このように、入力した目的や条件を満たすアイデアを、指定した表現方法で生成することができます。

メリット・デメリットの分析

さらに、生成されたアイデアにつき、メリット・デメリットを分析させることも可能です。

「上記各アイデアについて、メリットとデメリットを挙げてください。」と入力した結果、以下のような回答が得られました。

各アイデアのメリットとデメリットを以下に挙げます。

1. リモートワークエルゴノミクスチェア:

メリット:

– 適切な姿勢をサポートし、快適な座り心地を提供することで、リモートワーカーの健康と快適性を向上させる。

– 調整可能な機能を備えているため、個々のユーザーの身体的なニーズに合わせてカスタマイズ可能。

デメリット:

– 高価な製品である可能性があり、一部のユーザーにとって手の届かないものになる可能性がある。

– 姿勢の改善には継続的な使用と適切な使用方法の指導が必要であり、ユーザーの協力と教育が必要。

2. スマートリモートワークデスク:

メリット:

– 作業スペースの整理や効率的な作業環境の構築をサポートし、リモートワーカーの生産性を向上させる。

– ワイヤーマネジメントシステムにより、デスク上の乱雑さやケーブルの取り回しに関する問題を解決。

デメリット:

– 特定の作業スペースに合わせて設計された製品であるため、柔軟性に欠ける場合があり、異なる環境に適用することが難しい場合がある。

– スマートデスクアプリの利用や機能の設定に慣れるまでの学習曲線がある。

3. ノイズキャンセリングオフィスポッド:

メリット:

– 静かな作業環境を提供し、外部のノイズや騒音からリモートワーカーを保護する。

– 快適な照明や空調システム、エルゴノミクス設計により、集中力と快適性を向上させる。

デメリット:

– 特別なスペースや設置場所が必要であり、一部のユーザーにとっては手狭な環境下での利用が制限される可能性がある。

– 高価な製品であるため、予算の制約がある場合には手が出しにくい。

これらのメリットとデメリットを考慮しながら、それぞれのアイデアを評価し、実現可能性とユーザーのニーズに対する適合性を検討することが重要です。

このように、先程入力して得られたアイデアについて、それぞれメリットとデメリットを説明させることができます。これらの回答は、入力から数十秒で生成されます。

著作権法上の注意点

以上のようにChatGPTを用いることで効率良くブレインストーミングを行い様々なアイデアを得ることができますが、これには著作権侵害のおそれがあります。

ChatGPTがアイデアを生成するプロセス

そもそも、ChatGPTはどのようにアイデアを生成するのでしょうか。

ChatGPTはトレーニングデータから学習されたモデルであり、そのモデルを使用してアイデアを出す際には、トレーニングに使用されたデータやその他の情報に基づいて応答を生成します。

学習の素材となる特定のトレーニングデータが著作権で保護されている場合、それを使用して生成されたアイデアは著作権を侵害するおそれがあります。

具体例としては、ChatGPTを使用して新しい小説のアイデアを生成する場合、ChatGPTは既存の小説や文章を学習データとして使用しているため、生成されたアイデアが他の小説と酷似している場合、著著作権を侵害し得るといえます。

また、ChatGPTがトレーニングに使用された小説の著作権が第三者に帰属している場合、その小説のアイデアを含む生成物を使用することも著作権侵害となり得ます。

著作権侵害の要件

他人の著作物を、権利者の許諾を得ないまま、権利制限規定に当たらないにもかかわらず利用する行為は、著作権を侵害するものと認められます。

裁判例は、著作権侵害の要件として、①類似性②依拠性を満たすことが必要だと示しています。

①類似性とは、後発の作品が既存の著作物と同一・類似していることを意味します。そして、②依拠性とは、既存の著作物に依拠して複製等がされたことを意味します。

①類似性が認められ得る場合

ChatGPTは大量のテキストデータを学習しているため、生成されたアイデアが既存の著作物と類似している場合があります。

例えば、ChatGPTが音楽のメロディを学習し、それを元に新曲のアイデアを提案する場合、その曲との類似性が高い場合には著作権侵害のおそれがあります。

また、ChatGPTが映画のストーリーラインやキャラクターを学習し、それをもとに新しい映画のアイデアを提案する場合、元の映画の著作権者の権利を侵害する可能性があります。

これは、既存の情報を組み合わせて新たなアイデアを生成する場合も同様です。

②依拠性が認められ得る場合

依拠性の判断は、学習段階と生成段階の2つに分けて行われます。

学習段階で学習対象となる既存の著作物への依拠性については、学習段階における学習方法や、利用段階において入力したプロンプト等の具体的な事情を考慮する必要があるため、判断が困難であるといわれます。

生成段階で入力対象となった既存の著作物への依拠性は、行為者が既存著作物を認識した上で入力しているといえるため、依拠性が認められやすいと考えられます。

依拠性が認められる例として、AIを利用しているとしながら実際には単なる学習用作品データベースを利用している場合や、文章生成AIに他人の著作物を入力して生成する場合などが考えられます。

権利制限規定

著作権法は、公益性が高いと認められるなど一定の場合に許諾なく著作物の利用を認めるという権利制限規定を設けています。権利制限規定に当たる場合は、既存の著作物との類似性や依拠性が認められるものであっても権利者の許諾は不要です。

例えば、著作権法30条は、私的使用のための複製は許諾なく認められると定めています。

著作権法30条
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 (略)

その他の権利制限規定については文化庁のホームページを参照してください。

著作権侵害への対策

上述の問題が発生することを未然に防ぐべく、生成されたアイデアが著作権を侵害していないか分析・確認する必要があります。

まずは、権利制限規定に該当するかどうか確認し、権利者の許諾が不要であることを判断します。

そして、権利制限規定に該当しない場合、類似性や依拠性を慎重に判断する必要があります。大量の著作権や特許権等の知的財産を効率よく分析するには、特許分析ツールが有効です。

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まとめ

・ChatGPTに目的や要望、条件などを入力することで、1人でもブレインストーミングを行うことが可能です。

・生成AIにより生成したアイデアを利用する場合、著作権侵害の問題が生じ得ます。

・著作権侵害を未然に防止するため、利用権利制限規定や類似性・依拠性についてあらかじめ判断することが必要です。

・著作権等の問題に注意しつつ、生成型AIを活用し新しいアイデアを生み出すことが期待されます。