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標準文字商標として登録できる文字・記号は?

みなさん「商標」というとどんなものを思い浮かべるでしょうか。立体、音、動きなど意外なものまで登録ができる商標ですが、出願件数も多くもっともメジャーといえるのは「文字」のみで構成される商標ではないかと思います。

文字のみで構成される商標の場合、標準文字商標として登録することも可能です。ただし、標準文字商標では、登録できない文字や記号があるので注意が必要です。

今回の記事では、標準文字商標として登録する場合に、どのような文字や記号が利用できるかをご説明します。

標準文字商標とは

標準文字商標とは、登録したい商標が文字だけで構成されている場合において、あらかじめ特許庁が指定した文体で登録する商標です。文字のデザイン(フォントなど)ではなく、その文字自体を保護する制度と言い換えることもできます。

反対に、文字にデザインを施した商標や、文字に図形などを装飾した商標は「ロゴ商標」や「記号商標」などと呼ばれます。

文字商標の細かいデザインなどが決定していない場合には、標準文字商標として登録される傾向があります。ロゴ商標と比較して、フォントなどのデザインを気にせずに使える点がメリットです。

ただし文字のみを保護する制度であるため、文字は自社で用いている商標と非類似でも、デザイン性が類似する他社の商標を排除できない可能性があります。

したがって、できる限り実際に事業で使用する商標(デザインなどが施されたもの)を登録することが好ましいでしょう。

標準文字商標として登録できる文字・記号

標準文字商標として登録するには、特許庁長官が指定する標準文字のみで構成されている必要があります。標準文字ではない文字・記号を含んでいる場合、通常の商標として登録されることになるので注意です。

標準文字商標として登録できる文字は次のとおりです。

  • 全角空白(連続して2つ以上用いるのは不可)
  • すべてのひらがな
  • すべてのカタカナ
  • 0〜9の数字すべて
  • すべての英大文字、英小文字
  • JIS-X0208-1997の第1水準、第2水準で規定されたすべての漢字

ひらがなとカタカナに関しては、小文字や濁点文字も含まれます。漢字については、だいたいパソコン入力で出力されるものが含まれていると考えて問題ないでしょう。

  • 読点:
  • 句点:。
  • コンマ:,
  • ピリオド: .
  • 中点:・
  • 感嘆符:!
  • 平仮名繰返し記号、濁点の平仮名繰返し記号:ゝ、
  • 繰返し記号:々
  • 長音記号:ー
  • ダッシュ:―
  • 波ダッシュ:~
  • 左シングル引用符:‘
  • 右シングル引用符:’
  • 始め小括弧、終わり小括弧:( )
  • 始め亀甲括弧、終わり亀甲括弧:〔 〕
  • 始め大括弧、 終わり大括弧:[ ]
  • 始めかぎ括弧、終わりかぎ括弧:「 」
  • 正符号:+
  • 負符号:-
  • パーセント:%
  • アンパサンド:&
  • 単価記号:@

参考:標準文字

標準文字商標として登録できない文字・記号の例

先ほどご説明した通り、標準文字商標として利用できる文字や記号には制限があります。具体的に特許庁では、下記を標準文字商標として認められないケースとして列挙しています。

  1. 特許庁長官の指定文字以外の文字を含む商標
  2. 文字数の制限30文字を超える文字数(スペースも文字数に加える)からなる商標
  3. 図形のみの商標、図形と文字の結合商標
  4. 縦書きの商標、2段以上の構成からなる商標
  5. ポイントの異なる文字を含む商標
  6. 色彩を付した商標
  7. 文字の一部が図形的に、又は異なる書体で記載されている商標
  8. 花文字など特殊文字、草書体など特殊書体で記載された商標
  9. スペースの連続を含む商標

特に注意すべきは1つ目のケースです。パソコンで入力できないマイナーな漢字や、標準文字に指定されていない記号(「?」マークなど)を含んでいる商標は、標準文字商標として登録することはできません。

また、2つ目のケースにも注意が必要です。たとえ標準文字のみで構成されていても、文字数が30字を超えている場合には標準文字商標としては認められません。また、スペースが含まれていることが理由で、30字を超えてしまうことにも注意する必要があります。

参考:商標法第5条第3項に規定する標準文字について 特許庁

図形商標や立体商標で使用できる文字・記号

商標には、文字商標以外にも図形商標や立体商標などもあります。この章では、それらの商標で使用できる文字・記号をご紹介します。

図形商標とは、簡単に言うとデザインが施された記号や図形のことです。具体的には、キャラクターやイラストなどが該当します。図形商標に関して、登録可能な図形に制限はありません。

一方で立体商標とは、立体的な形状に関する商標です。具体的には、キャラクターの像や飲料水のボトルなどが当てはまります。立体商標に関しては、特定の商品・会社を連想できるだけの特殊な図形である必要があります。

まとめ

標準文字商標では、一般的な漢字やカタカナ・ひらがなのみならず、「!」などの主要なマークを活用できます。ただしマイナーな漢字や一部の記号(「?」など)は使えないので注意しましょう。

マイナーな漢字や一部の記号を用いたり、図形を文字の中に入れたい場合は、通常の商標として登録できます。もしくは、図形商標や立体商標として登録する戦略も有用です。