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いまさら聞けない、開放特許とは

数年前から、ニュースでも「開放特許」という文字を目にするようになりました。

たとえば、2022年だとこのようなニュースがあります。

『パナソニック、低炭素に関する特許を無償開放--日本企業では初』:https://japan.zdnet.com/article/35192181/

パナソニックグループが今回無償公開した特許は、バイオマスで使われる植物と同程度のエネルギー変換効率を実現した人工光合成技術に関するものだそうです。

少し前のニュースだと、

『トヨタがハイブリッドの特許を無料開放した驚きの理由とは』:https://ascii.jp/elem/000/001/850/1850177/

トヨタ自動車が、ハイブリッド車開発で培ったモーター・システムや制御等車両電動化技術の特許約23740件について、実施権を無料で提供するといったものでした。

自社の発明コストをかけずに、パナソニックやトヨタの発明した技術を使うことができるなんて夢のようです。

このようなチャンスを活かすためには「開放特許」がどのようなもので、どのように活用ができるのかを知っておくことは非常に重要です。

開放特許とは

開放特許とは、自身が権利者となっている特許について、他人に譲渡することやライセンスをすることを認めている特許のことをいいます。

自分たちだけで独占しない開放した特許という説明をされることが多いようです。

なぜ開放特許にするのか

特許を開放特許とする理由は大きく2点あります。

ひとつは、事業展開をするために新しい製品やサービスに関する特許を取得したがその事業を行わないと判断したり、方向性を変えることとなりその特許を使用しなくなった(休眠)というパターンです。
これは事業を多く展開している大企業などに多い傾向があります。

もうひとつは、特許を取得し、事業展開をしていたが自社の技術不足や、人的リソースの問題で自社だけでのサービス展開に限界を感じるパターンがあります。
これは中小企業などに多く、大企業に特許の実施権を与えて、開発や製品化を進めてもらうという方法があります。もちろん、実施するのに工数がかかるため面倒だという場合などは特許を買い取ってもらうということも考えられます。

ある意味、特許の出口戦略ともいえるかもしれません。

注意!開放特許は「権利フリー」ではない

「開放」とついていることから誰でも自由に使っていい特許と誤解されることもありますが、開放特許は権利フリーや無償提供ではありませんので注意が必要です。

そして、間違えてはならない点ですが、開放特許は権利の放棄ではありませんので、侵害をしていれば差止めや訴訟の対象となります。

開放特許を利用したい場合は、特許権者から開放特許についての権利譲渡又はライセンスをうけるなど、特許の権利者側の要求する内容に応じた契約や手続きが必要となります。

ライセンスをする場合のロイヤリティ相場が気になる方はこちらの記事を見てみてください。

『特許のライセンス料相場について解説』:https://www.tokkyo.ai/wiki/wiki-patent/patent-licensing-fee-rates/

他社特許が出品されている「IPマーケットプレイス」活用

開放特許について説明をしてきましたが、買手側(ライセンスを受ける側)の目線としては他社の特許を活用して製品を効率よく開発する事もできますし、売手側(ライセンスをする側)の目線としては、自社の特許を他者に譲渡やライセンスをして、譲渡対価やライセンス料金を得るなど、知財の活用はさまざまです。

IPマーケットプレイスでは他社への売却やライセンスをする意思のある特許が多数出品されています。出品されている特許をチェックしてみてください。

『IPマーケットプレイス』:https://marketplace.tokkyo.ai/

自社特許を他社に使ってもらいたい、他社特許を活用したいという場合に何か気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。