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著作権侵害 個人利用ならセーフ?ファスト映画初の逮捕者

ニュースの概要

映画やドラマの映像を、結末を含めて10分程度に再編集した「ファスト映画」を権利者の許可なくYouTubeにアップロードしたとして、男女3人が著作権法違反の疑いで逮捕されました。ファスト映画を巡る摘発は初めてとなります。

宮城県警の捜査員が昨年7月、サイバーパトロールで動画を発見し、業界団体「コンテンツ海外流通促進機構」(東京)などと連携して容疑者を特定しました。

ファスト映画の違法性

ファスト映画が法的に問題となることについての記事はこちら。

「ファスト映画」が急増、その対策は?

映画などの著作権者でつくるコンテンツ海外流通促進機構(東京)によると、ファスト映画の被害額は約956億円に上ります。この1年間で少なくとも55のアカウントから2100以上の動画が投稿され、数百万回再生された動画もあったとのことです。

個人利用なら著作権侵害にならない?SNS投稿は?

今回のファスト映画から明らかなように原則として他人の著作物を無断で利用すると、著作権法違反(著作権侵害)となります。ですが、例外として「個人利用」目的の「複製」は著作権侵害にはなりません。

著作権法第30条 (私的使用のための複製)

著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(「私的使用」)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

ここでいう「私的使用」とは「個人的」または「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」で使用すること、「個人的」とは、個人的な趣味や娯楽などのために利用することです。

「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」とは、明示されているとおり家庭内のほか、ごく親しい友人数人の間のような、属するメンバーの間に強い個人的結合関係が築かれているグループもこれに準ずる限られた範囲に該当します。

私的使用に該当する場合であっても、著作権者の許諾なしに利用できるのは「複製」のみです。他人が著作権者である画像や動画をSNSに載せることは、複製に当たらず公衆送信権(23条1項)侵害、翻案権(27条)侵害や二次的著作物利用権(28条)侵害等の著作権侵害に該当する恐れがあります。

WEB上でのデータなど著作物が簡単にコピーされ流通されうる昨今では、SNSの発信等によって簡単に著作権侵害をする可能性がありますので、コンテンツの利用には注意しましょう。

配信元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210623/k10013099361000.html