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特許をビジネスに活かす特許検索・特許調査のすすめかた

独占的に発明した技術を利用できる特許は、ビジネスの成功にとって欠かせない資産です。特許は最初に出願した人のみが取得できるため、自社が取得したい(または取得している)特許がある場合には、権利の獲得や権利侵害を防止するために検索・調査しなくてはいけません。

特許検索(特許調査)の方法は様々ですが、専門的な知識を要するものもあります。そこで今回は、自力で行える最も簡単な特許検索・調査の進め方について、順を追って丁寧に解説します。

調査目的や調査したい技術等の決定

まずはじめに、特許調査を行う目的を明確にしましょう。というのも、目的によってどの程度調査を徹底すべきかは異なるからです。

たとえば特定分野の動向を調べる目的ならば、要約をざっくり読む程度の簡単な調査で問題ないかもしれません。しかし一方で、他社の特許を侵害しない(されない)ために調査する場合は、トラブルが生じないよう重点的に調査する必要があります。そのため、自社が特許権を侵害していないか(されていないか)を確認するために、文献の細かい部分まで目を通さなくてはいけません。

また、調査したい技術も明確にする必要があります。特許には膨大な数があるため、調査内容を狭めておかないと、調査に膨大な手間や時間がかかります。たとえば「AI」や「人工知能」といった漠然な調査範囲にすると、数千件にも及ぶ案件を一つ一つ調査することになります。 効率的に調査を進めるためにも、「車の自動運転に用いる人工知能」といったように、調査範囲を具体的に決定しておくことが重要です。

特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」の簡易検索を行う

調査目的や範囲を決めたら、具体的に特許を検索する流れとなります。特許を調査する方法としては、公開公報・特許公報などの文献を一つ一つ手探りで調査する方法をはじめとして、様々なものがあります。

その中でも、もっとも簡単なのが特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」の簡易検索を用いる方法です。簡易検索では、入力窓に調査したいキーワードを入力するだけで、そのキーワードに関連する特許を簡単に検索可能です。

たとえば「人工知能」と入力・検索すると、人工知能に関連した特許の文献が一覧で表示されます。検索結果のページでは、各案件ごとに左から順に「文献番号」、「出願番号」、「出願日」、「公知日」、「発明の名称」、「出願人/権利者」、「FI(特許を分類する記号)」、「各種機能」が表示されています。ちなみに各種機能にある「経過情報」をクリックすると、特許の出願・公開日や出願の詳細情報が時系列で表示されます。

なお一つのキーワードのみで検索すると、膨大な量の文献が出てくるため、実際の調査には役立ちません。より特定の分野に限定して検索したい場合は、「人工知能 自動車」といった形で複数のキーワードをスペース区切りで組み合わせて検索しましょう。そうすれば、入力したすべてのキーワードに関連する文献のみが表示されるので便利です。

また、検索窓で入力したキーワードでしか検索結果を表示できない点にも注意が必要です。たとえば「人工知能」と調べた場合、「AI」という用語が含まれる文献は表示されない可能性があります。なるべく漏れなく検索するためにも、類似する複数の単語をすべて検索するのがベストです。

参考: J-PlatPat 簡易検索

必要に応じて「J-PlatPat」内の詳細な入力機能を使う

ちょっとした特許調査であれば、上記の検索方法で必要な情報は集まります。しかし本格的な調査を行う場合や、簡易検索で必要な情報が見つからない場合には、より詳細な調査が必要となります。

より詳細な調査が必要な場合は、J-PlatPat内にある「特許・実用新案検索」を活用しましょう。こちらでは、「要約」や「明細書」、「タイトル」などの項目ごとに、文章内に含まれている検索キーワードを指定できます。たとえば要約に「人工知能」、明細書に「自動運転」、タイトルに「自動車」というキーワードを入力・検索すれば、この条件を完璧に満たす文献のみが検索結果に表示されます。したがって、簡易検索よりもより的確に必要な情報を調査可能です。

また、日付指定やFI、発明者などの名称での検索もできるため、調査スキルがあればあるほど、調査の精度を高めることができます。

多少の検索スキルや専門用語に関する知識は必要となるものの、簡易検索で必要な情報が見つからなかった際には、ぜひこちらの検索方法にもチャレンジしてみましょう。

参考: J-PlatPat 特許・実用新案検索

まとめ

今回お伝えしたように、特許検索・調査は比較的誰でも簡単に実施できます。今後特許権を取得したい方や他社の特許を侵害していないかを確認したい方は、ぜひ特許検索にチャレンジしてみてください。

ただし今回お伝えした方法は、あくまで入門的な特許検索の方法です。より正確かつ専門的な調査を行う場合には、専門的なスキルや知識を要します。したがって、本格的な特許調査を行う際には、弁理士などの専門家に依頼するのがオススメです。