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スタートアップにこそ、特許が必要な理由

スタートアップといえば、事業の成長に向けて営業やマーケティングに注力するイメージがあります。そのため、特許の取得にはあまり意識が向かないのが一般的です。しかしスタートアップこそ、特許を取得すべきです。 今回の記事では、スタートアップが特許を取得すべき理由を6つご紹介します。

他社の模倣を防ぐことが可能

特許権をはじめとした知的財産は、正式に権利を取得しなければ、たとえ発明した人であっても独占的に利用することはできません。そのため、特許権を持たないスタートアップは、発明した技術を他社に模倣されるリスクがあります。

他社に模倣される結果、自社が本来得られるはずであった利益の取り分が減ってしまうリスクがあります。せっかく発明した技術を模倣されないためにも、スタートアップこそ特許を持たなくてはいけないのです。

他社から特許侵害で訴えられるリスクを無くせる

特許を含む知的財産権は、基本的に最初に権利を取得した人が独占的に権利を行使できます。

そのため、仮に自社よりも先に他社が同じ技術に関して特許を取得している場合、自社ではその技術を自由には活用できなくなります。他社が特許を取得している事実を知らずに製品を販売すると、特許侵害で訴えられる恐れもあります。

特に最悪なのが、自社で開発した技術を他社に公開した結果、模倣された上に特許を取得されるケースです。真似された上に自由に技術を活用できなくなるため、事業の成長機会が失われることとなります。 こうしたリスクを避けるためにも、革新的な技術を発明したスタートアップは、積極的に特許を取得すべきです。

資金調達が有利になる

スタートアップは設立したばかりの会社であるため、対外的な信用力に欠けるという弱みがあります。どれほど革新的な技術を持っていても、それだけでは金融機関や投資家から中々信頼を勝ち取れません。

一方で特許を取得すれば、国が発明した技術についてお墨付きを与えたことを意味します。加えて、発明した技術を独占的に利用することで、安定的な利益獲得につながることも表します。そのため、特許を取得することで金融機関や投資家から信用してもらいやすく、結果的に資金調達が有利となります。

他社にはない自社独自の強みとなる

特許権を取得すれば、基本的には自社のみで発明した技術を利用して、製品やサービスを開発・販売できます。つまり、特許権を取得すれば、他社が販売していない自社独自の製品やサービスを持つことができるわけです。

たとえばFacebookやインスタグラムなど、大成功を収めたスタートアップの大半は、他社製品・サービスにはない革新性を持ったサービスを提供しています。大きく事業を拡大させたいスタートアップにとって、特許は自社独自の強みを持つ上で強力な武器となるのです。

市場シェアの拡大につながる

スタートアップが事業を成長させる上で、最大の課題となるのが「市場シェアの拡大」です。大手企業と比較して、スタートアップの持つ資金力や販売網、人員などの経営資源の量は圧倒的に少ないです。

リソースが限られているため、たとえ高度な技術力や革新的なアイデアを持っていても、それを使って市場シェアを拡大するには膨大な時間がかかります。

そんな市場シェアの拡大に役立つのが特許の「ライセンス契約」です。ライセンス契約とは、大手企業や競合他社に対して、対価をもらう代わりに特許を利用する権利を与える契約です。ライセンス契約を締結することで、対価を定期的に得られる上に、他の会社に市場シェアを拡大してもらうことが可能となります。

保有する経営資源が少ないスタートアップだからこそ、特許のライセンス契約を最大限活用する戦略が有効となるのです。

M&Aのときに高値で評価されやすくなる

スタートアップの中には、M&A(事業売却)を最終的なゴールとして設定するところもあります。M&Aにより事業売却を果たせば、経営陣は数千万円〜数十億円もの売却利益を得られます。

M&Aでは、貸借対照表や損益計算書などの財務状況やビジネスプランだけでなく、特許権やノウハウといった無形資産も考慮した上で、最終的な買収価格が決定されます。つまり特許権を取得しているスタートアップは、取得していない所と比べて、より高値で売却できる可能性が高いのです。

普段のビジネスのみならず、最終的な出口戦略の場面でも役立つことを踏まえると、スタートアップにとって特許は不可欠の資産と言えます。

まとめ

今回お伝えしたように、特許はスタートアップに対して様々なメリットをもたらします。事業の成長を阻害するリスクを軽減できるだけでなく、より大きな利益を創出する資産としても機能します。

取得するには費用や手間はかかるものの、そうしたデメリットを遥かに上回るメリットを得られます。スタートアップを経営する方は、ぜひ特許の取得を検討してみてください。