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カーボンニュートラルの注目技術「洋上風力発電」の注目技術・プレイヤーとは

カーボンニュートラルとは

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。

地球温暖化などの危機を回避するため、現在は世界150カ国以上でカーボンニュートラル宣言がなされています。

日本においては、2020年に当時の菅総理より「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されました。

ちなみに主要国においては、以下のような目標が掲げられております。

(引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001400902.pdf

洋上風力発電とは

そんななか、温室効果ガスを排出しない純国産のエネルギー源「クリーンエネルギー」として注目を集めているのが「洋上風力発電」です。

洋上風力発電は、海上に設置した風車を使って発電をする発電方法です。

風力発電といえば山間部に設置するイメージがあるかもしれませんが、陸上に比べて安定的な風力を得られることと、もし倒壊した場合に人命に危害が加わるリスクが低く、また、騒音問題についても考慮する必要がないことから注目されています。

洋上風力発電技術の特許出願傾向と注目企業

洋上風力発電に関する出願は2000年以降で843件(2023年1月現在)

あり、傾向としては2010年あたりから急上昇しています。

洋上風力発電についての出願上位10社をリストアップすると以下の通りです。

出願数上位10社(件数)

  1. 三菱重工業株式会社 (56)
  2. 株式会社日立製作所 (47)
  3. 株式会社東芝 (36)
  4. 鹿島建設株式会社 (32)
  5. 古河電気工業株式会社 (30)
  6. 五洋建設株式会社 (26)
  7. 東芝エネルギーシステムズ株式会社 (24)
  8. 清水建設株式会社 (20)
  9. 新日鐵住金株式会社 (19)
  10. 戸田建設株式会社 (16)

そのうち上位5社の出願傾向を分析してみると、三菱重工をはじめ、各企業が2011年頃から出願数を伸ばしている点が伺えます。

このようにパテントマップを使うことで各企業の参入のタイミングや資本の投入度合いを把握することができます。

なお、三菱重工のグラフを見ると2014年は出願を伸ばしていますが、2020年から出願が無くなっています。

実際ニュースをみてみると、2020年に三菱重工は洋上風力発電の開発から撤退しています。

(参考記事:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66153040S0A111C2X13000/

このように、特許の出願数を分析することで、業界の各プレイヤーを俯瞰してみることができます。

洋上風力発電の技術

注目されている技術かどうか判断するにあたり、判断材料として「その特許がどれくらい他社から注目されているか」という「被引用」の数があります。

今回は比較的多くの企業から引用されている特許をピックアップしました。

名称:「洋上風力発電装置の設置方法」(被引用:10件)
出願番号:2003208950
公開番号:2005069025
登録番号:4401703
出願人:三井造船株式会社
発明者:杉本 達彦, 荻原 健

まとめ

今回は知財情報を俯瞰してプレイヤーや出願傾向の把握に関する調査方法を説明しました。

特許の検索・分析に慣れると知財戦略から企業の動向を読み取ったり、注目技術を読み取ったりすることができるようになります。

他社分析をする際の参考としてみてはいかがでしょうか。