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偽ブランド販売はなぜ逮捕される?~商標法違反とその罰則について~

増大し続ける偽造品被害

近年、ブランド商品の偽造品を販売するなどしていた業者が摘発されることが増えています。

最近だと「オリンピック関連の偽グッズを販売した容疑で逮捕」や「金の延べ板の偽造」など、“偽ブランド品の販売”が話題となり、さまざまな偽造品についてのニュースが目立っています。

もちろん、これらのような「偽造品の販売」は犯罪として取り締まられています。

偽造品の販売が犯罪になる根拠

「偽ブランドを販売するのは犯罪行為である。」それは疑うまでもありませんが、法的にはいったいどのような罪として裁かれるのでしょうか。多くの場合は以下の二つの罪に該当する可能性があります。

1.詐欺罪(刑法246条)

第246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

一つは刑法上の詐欺罪です。偽物をあたかも「本物」であるかのように販売することで、客をだます行為を罰するための犯罪類型です。

詐欺罪は日常生活においてもなじみ深く、聞いたことがあるという方も多いと思います。一方、2つ目の犯罪はそもそも刑法の定める犯罪ではなく、聞いたことがある人は少ないかもしれません。

2.商標権侵害の罪(商標法78条、78条の2)

第78条
商標権又は専用使用権を侵害した者(第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、 又はこれを併科する。  

第78条の2
第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

「商標法違反」といったように報道されることも多い商標権侵害の罪は、他人の商標を勝手に使用するなどして権利を侵害した者を罰するための犯罪類型です。詐欺罪などとは異なり、買う人が偽物だと知っていたとしても、ブランド品に使われたロゴなどが登録商標と類似していることが認められる場合には罰せられます。(もちろん、本物だと騙して売った場合はさらに詐欺罪が成立する可能性もあります)

オレオレ詐欺や傷害事件などのように頻繁に耳にする犯罪ではありませんが、10年以下の懲役に上乗せして1000万円以下の罰金が科される可能性もあり、前述の詐欺罪よりも罰則の上限が重い犯罪になっています。

また、実際に偽造品を販売していなくとも、販売のために偽ブランド品を所持したり輸入していた場合、商標法67条の行為に当たるので、商標法78条の2によって罰せられます。

商標権の侵害って?

このように非常に罰則が重く、また処罰の範囲も広い商標権侵害罪ですが、「商標権を侵害する」とはどういう行為をいうのでしょう。

商標法は商標権の効力について「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。(商標法25条前段)」と定めていますから、もちろんこれを侵害することが商標法違反になります。

これは例えば、バッグに勝手にシャネルのマークを付けたり、スニーカーに勝手にナイキのマークを付けるといったように、商標が登録されている商品や役務(サービス)について、商標権者の許可なく、登録商標を利用することそれ自体が犯罪となります。買う人が偽物だと分かっていても商標法違反が成立するのはこの点が大きく影響しています。

商標権は強力な権利

今まで述べてきたように、商標法違反は詐欺罪よりも重い罰則が定められており、商標権は強い保護を受けられる権利です。しかも、これらの犯罪は被害者が訴える必要がない非親告罪です。したがってオンラインの個人出品など、企業が漏れなく権利チェックを行うことが難しいケースについても捜査の手が及ぶことが期待できます。 このように商標権はブランド価値を守るために強い力を発揮する知的財産権です。お店の名前や看板商品の名前などについて商標権の取得がまだの方は早く出願することをお勧めします。

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商標の取得手続についてはこちら

また、皆さんがオンラインショップなどに物を出品する際も、こうした偽造品販売のリスクを認識したうえで、本当に正規品かを確認して出品する必要があります。もっとも、上記の犯罪にあたるのは、「商標権違反」や「売買の相手をだましていたこと」を知っていたのにあえて売る場合ですから気にしすぎる必要はありません。

商標権をはじめとする知的財産権は、アイディアなどを保護するための権利です。知的財産権は目に見えないために侵害されやすい分、権利の保護が手厚くなっていますから、ぜひ取得・活用を検討してみてください。

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