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「鬼滅の刃」のキャラクター商品の類似品を販売したとして、不正競争防止法違反容疑で雑貨販売会社「レッドスパイス」の社長とその夫ら役員3人(中国籍)の計4人が逮捕されました。
容疑者らは主人公の市松模様の羽織の柄をあしらった財布などの類似品を中国から輸入し、約16億7000万円を売り上げていました。
なぜ意匠法違反ではなく、不正競争防止法違反なの?
一般的に偽造ブランドの販売などは、商標法、意匠法が問題となることが多いです。ですが、今回は不正競争防止法で逮捕されています。今回対象となった鬼滅の刃の主人公の模様などは商標権を取得していないため、商標法で逮捕は難しいでしょう。では、意匠法ではなく不正競争防止法となった理由は何でしょうか。
意匠法と不正競争防止法は類似性の判断基準が異なります。
類似性について、意匠法の場合は要部の「美観が類似するか」を判断します(東地判平成 10(ワ)24986 号)。
一方で不正競争防止法の場合は、他人の著名な商品等表示※を使用することによって,一般需要者が他人の商品等と混同するかを判断します(東地判平成 4(ワ)9311 号,東地判平成10(ワ)23338 号)。
不正競争防止法で保護されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 商品等表示性
商品の形態が、「あの会社の商品だ」と分かる程度に知られているように、商品の印として機能する必要があります。
- 周知性
商品の形態が需要者の間で広く認識されている必要があります。
③類似性
商品形態が、全体として類似する必要があります。
④混同のおそれ
需要者が両者の商品の間で混同を起こすおそれがあることが必要です
以上より、「要部の美感の類似性」が必要となる意匠法よりも、不正競争防止法の方が類似性判断のハードルは低いので、不正競争防止法で逮捕して捜査を進めるのでしょう。偽グッズについて不正競争防止法での立件は少ないので、今後の先例となりうるかに注目が集まりそうです。
配信元:https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20210728_10283