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事業に資する「知財データ・ドリブン」 ミノル国際特許事務所 所長 弁理士 安彦 元 氏 インタビュー

<略歴等>
1997年 電子機器メーカーに就職
2000年 都内の特許事務所に入所
2001年 弁理士登録
2004年 ミノル国際特許事務所に入所
2008年 博士(技術経営)・東京工業大学
2011年 ミノル国際特許事務所所長
2018年 イノベーションIP・コンサルティング株式会社を設立
2020年  Axelidea株式会社に参加

主な著書:
「知的財産イノベーション研究の展望」、白桃書房、2014年(共著)
「人工知能 特許分析 2019」 日経BP社 2019年
「競争力が持続する戦略」  日経BP社 2020年

事業に資する知財とは何か

最初にメーカーで研究開発職をやっていて、特許事務所に転職して今に至りますが、自分の関わった特許が果たして本当の意味で「お客様の事業に資する知財権」になっているのかが気になったんです。

そのためにはまず代理人となる私自身が、クライアントの考えている事業戦略、経営戦略、イノベーション経営をリードできる素養を身に付けなければと思い、2005年から3年間に亘りに技術経営の専門職大学院で知財マネジメント、技術経営について研究活動を通じていろいろ学びました。但し、今思い返すと、その研究活動自体はもちろんプラスなりましたが、学会や研究会を通じていろいろな方と出会うことができ、学ばせていただいたのがとても良かったと思います。

2011年に現在のミノル国際特許事務所を承継した後、知財マネジメント、技術経営に関してお客様のお役にたてるようにするために知財コンサルティング部門を独立させイノベーションIP・コンサルティング株式会社という会社を作りました。また、AIを積極的に活用してアイデアを創出させ、システマティックなイノベーションに繋げる研究に着手し、これを実社会に提供するために設立されたAxelidea株式会社にも参加しております。

ミノル国際特許事務所、イノベーションIP・コンサルティング㈱、Axelidea㈱によるMinoru IPグループを通じて、イノベーション経営から知財経営までの戦略作りから、発明創造、更には知財権利化までを一気通貫でお客様をサポートできる体制を作りました。

知財のプロがコンサルティングサービスを提供しているのを強みに展開しています。

特許の9割は事前準備で決まる

Minoru IP グループの強みというと、まず知財のデータドリブンです。つまり、IPランドスケープに加え、知財を経営ひいては企業価値に繋げていくためのデータ分析や、発明を創造支援するためのAIデータベースがそれにあたります。また、知財経営そのものを支援するコンサルティングにも注力しております。

今まで一番力を入れてやってきた特許出願、権利化の実務を大切にしていくことはもちろんです。

だけれども、出願、権利化に至るまでの事前準備がそれに匹敵するくらい大事です。

本当に価値のある特許にしていくために、その前段となる準備段階で9割ぐらい権利の質が決まるんです。つまり、準備次第でその特許の運命が大きく変わってしまいます。

先ずは知財データ分析を通じて俯瞰し、その会社が持っている技術の強みを最大限生かし、

事業の強みに繋げるために必要な特許ポートフォリオをデザインし、アイデアのブラッシュアップが必要であれば創造支援をする、様々な取り得るオプションを選択していくわけです。

もちろん、俯瞰的なパテントマップのデータも重要なんですが、分析したデータをいかに解釈し、自社の事業戦略、ひいては知財をレバレッジとしたマネタイズにつなげていくかが重要であり、実務を行う上でも注意が必要です。

知財データ・ドリブン

Minoru IP グループは知財データをいかに効率的に追求し、活用するかというところに力を入れており、現在はデータベースを2つ準備しています。

一つは「IIPAC(イーパック)」です。Innovation IP Analyzing Concierge の略語で、量×質を追求したデータベースです。

URL:https://iipac.jp/

もう一つは発明創造に特化したAIの「AXELIDEA(アクセリディア)」です。

URL:https://axelidea.com/

下記に、IIPACとAXELIDEAを紹介します。

IIPACについて

IPランドスケープなどの特許分析をするにしても、特許の量(件数)というところが重要ですが、我々は量と質の2軸で見ます。

特許の収録件数は700万件を越えます。

ここに収録されている特許データを、M&Aやオープンイノベーションにどのように繋げていくかといったところに特化したデータベースです。

IIPACは、私が開発した「特許の広さと質」をスコア化したものである「TS(Technology Size®)値」を活用し、ランキングや分析などもウェブブラウザから行うことができるツールとなります。

この分析結果をオープンイノベーションやM&Aで使います。

IIPACのツールを使うと特許件数だけではなく、質的な指標もスコアリングしたときにどうなるの?というのを簡単に確認できます。

現在、ランキングは無料で公開していますので見てみてください。

https://iipac.jp/ranking/

ちなみに、これを分析できる「Dashboard」という機能を現在準備中です。

そして情報公開「Think Tank」です。

ここでは、「Dashboard」の機能を一部利用し、M&Aの対象となる企業を分析したレポートの作成や、侵害訴訟の勝率と特許の質的データの分析を行っております。こういった情報も全部公開しています。

https://iipac.jp/think-tank/

このような特許データを分析し、公開している点が我々Minoru IP グループの強みです。

アイデア創発の「AXELIDEA」

もちろんデータ分析だけでなく、発明の「創造」も非常に重要です。

クライアントからの要望の中には、アイデアが出なくて困っているとか、1つのアイデアからその周辺までポートフォリオの権利全部を抑えたいという要望などもあります。

それらに応えるために、AXELIDEA(アクセリディア)というツールを開発しました。

現在、生成AIとしてChatGPTが話題になり多くの場面で使われていますが、汎用ツールであるがゆえに、特許のことなどの専門的な内容を質問すると「専門家にきいてくれ」といった内容が返ってきます。

たとえば、「バイオマス発電の安定発電の発電コストを安定した安定させるためには?」のような内容をChatGPTにいれても、特許の専門家的な視点でみたときに使えるアウトプットは返ってきません。

これは特許データを学習させていないからです。

ところが、我々の「AXELIDEA」は過去の約160万件の特許データを学習させています。課題から解決まで全部です。インターフェースとしてはChatGPTを使うようなイメージでお使いいただけます。

同じ質問をしてみると分かるのですが、技術的なアイデアを生成することがわかります。

これを使って、我々はお客様に提案をし、発明共創をしていくんです。

こういったAIの力を使ったほうが、どんどん新しいものが出てきます。

知財コンサルティング

そして、知財コンサルティング、これは私の生涯のテーマだと思っています。活用性の高い特許を取得するためには、データの強み、創造支援するAIの強みをベースにしつつ、クライアントと一緒に伴走するコンサルティングをしっかりやらないといけないねというところです。

イノベーションIP・コンサルティングのウェブサイトがございますので、こちらは実績紹介となります。

この表はシンプルで、我々が関与した前後で特許出願件数のみならず、知財活動をレバレッジとして各クライアントがどのような成功をされたか、を掲載しています。

実際に事例を紹介していますので、こちらは見ていただいたほうが早いと思います(笑)

https://innovation-ip.co.jp/about/case/ より抜粋

最後は情熱

我々のメンバーは、特許明細書の作成経験豊富なメンバーに加えて、クライアントの知財に関するコンサルティングを得意とするメンバーがいて、さらには知財を熟知しつつPythonのプログラム開発ができるメンバーが集まってきてます。

このようなメンバー間で力を合わせ、出願権利化はもちろん、それに加えて、データ分析と、コンサルティングまでを一気通貫でできることが重要だと思っています。最後は、クライアントの知財経営力を向上させたいという情熱がモノを言うと思います。

もちろんその情熱にご賛同いただける方は是非うちにいらしてください(笑)

弁理士の仕事はこういったテクノロジーの進化で大きく変わることは明らかですので、弁理士はAIを活用してより質の高い仕事をしていくことが問われるのではないかと思います。

ミノル国際特許事務所:https://minorutokkyo.com/

イノベーションIP・コンサルティング㈱:https://innovation-ip.co.jp/

Axelidea㈱:https://axelidea.com/