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「一枚のメモから発明を」-発明者が報われる世界を創る- オリーブ国際特許事務所 所長 藤田考晴弁理士 インタビュー

<藤田先生 ご経歴>
1992年:東京工業大学工学部機械工学科卒 低発熱量材料を燃焼可能な流動床燃焼の研究を行う。
1994年:東京工業大学大学院理工学研究科(原子核工学)修了 マイクロ波を用いた難燃焼性材料の熱分解による炭素固定化の研究を行う。同年、株式会社デンソー(基礎研究所)入社 スターリング冷凍機、パルス管冷凍機、及びエキシマレーザーを用いたレーリー散乱光によるパルス管冷凍機の管内の非定常温度分布の計測等の研究開発
1996年:国内の大手特許事務所。機械部門の部長
2003年:オリーブ国際特許事務所を設立。

本屋で知った「弁理士」

大学院のときに研究室の後輩と本屋に行き、資格の本を手に取って初めて「弁理士」という資格を知り、東工大の大学・大学院で機械工学を専門に学んだことを生かせるということで目に留まりました。そのときまでは実は「弁理士」という資格を知らなかったのです。

研究者として会社に入社することはそのとき決まっていたので、一度は入社したのですが、働くうちにやはりIPの業界に入ろうかなということで、弁理士資格を取ろうかなと。

弁理士になって世の中の報われない人を助けたい、いわゆる中小企業の発明者さん研究者さんなどに光を当てたいとの想いがありました。

当時は、青色発光ダイオード事件の前だったので、企業内で発明しても正当な評価や相当の対価を得られないというケースも、今以上にみられました。

最初に入社した会社から大手特許事務所に転職した後、1998年に弁理士資格を取得しました。大手特許事務所で数年ほど勤めていた頃は、機械部門部長をはじめとして責任ある仕事を任され、大企業のクライアント様とも直接やりとりするなどやりがいもあり、非常に良くしていただいてきました。満足していたのですが、「このまま、もともとやってみたかったことをしないままでいいのかな」という思いもあり、「独立して報われない人々を助けたい」という当初の想いを叶えるため、独立を決意。2003年、オリーブ国際特許事務所を創立し、現在に至ります。

特許事務所の創業と急速な拡大

事務所を立ち上げた当初は、自宅で妻と二人でやろうというつもりでした。

しかし、大手事務所に勤めていた頃のクライアント企業様から、「引き続きお願いしたい」というオファーがあり、となると、人を雇わなければいけませんから、大変でしたね。

三菱重工横浜ビルの一画が空いているからそこでやりなさい、というお声がけもいただくなど、ありがたいことに創業当初から驚くほど順調でした。

最初は一人雇ったところからスタートして、すぐ5~6人集まり、ほどなくして10~20人くらいになり、 周りに恵まれて意外に早く事務所を拡大させることができました。

「オリーブ国際特許事務所」命名秘話

そこで、事務所の名前をつけないといけないということになりまして、よくある自分の名前をつけた事務所名にするより、自分が亡くなった後も残るような名前にしたいと想い、創業メンバー数名で意見を出し合って決めました。万が一、自分に何かあったとしても、発展していってほしいなとの願いが込められています。

「一枚のメモから」特許出願をサポート

ホームページにも書かせていただいていますが「一枚のメモから」でも特許の出願に関する支援をさせて頂いております。実際、まったくのゼロからの発明をメモ一枚でというのは難しいですが、もともとあるものを改良するケースなどは「メモ一枚で特許出願」をお手伝いしたことはたくさんありますよ。

例えば、エアコン関係のクライアント様との打ち合わせにおいて、縦軸が圧力p、横軸がエンタルピーhのp-h線図(モリエル線図)で冷凍サイクルを表すのですが、これが熱力学(物理学)が初めての人は何のグラフかわからなかったりするんですね。すると、そこから説明を始めないといけない。

一方、私はもともと機械系の技術者だったので、ある程度の専門知識がありますし、そういったケースに関しては技術者同士で行うような専門的な会話や、一枚のメモから、クレームを書き起こすこともできます。こういったケースも多々ありました。

クライアント様からは「今までは全然わかってもらえなかったんですけど、藤田先生はひとこと話せばわかってもらえてありがたい」と評価いただいています。

弁理士とのディスカッションで発明をブラッシュアップする、いわばコンサルのようなお手伝いも好評いただいています。

中小企業の知財戦略サポート

大企業は自社内で知財戦略を構築しますので街の弁理士と一緒に戦略構築することは少ない一方、中小企業の場合はそもそも「特許って何ですか?」から始まるときもあります。

中小企業では、まずそもそもビジネスとして何をやりたいのか?何を社会に提供したいのか?というところからスタートしていただくのがよいのではないかと。

すると、それに対して技術的に解決するためには何が必要か?が見えてくるので、そのために特許調査があるという位置づけです。

特許調査してみて、自分たちがビジネスでやろうとしていることに必要なことは何か見定め、今はないものをどんどん開発していく、そのなかでどれから出願していくのか、そういったことをわれわれ弁理士と相談しながら行っていくのがよいかと思います。

また中小企業ではなかなか手が回らない競合調査のほか、FTO調査などのご提供もしています。

知財業界は能力の可能性を見いだせるフィールド

一般企業で働く場合は、ある程度決まった枠組みの中で働くことが求められますが、特許事務所においては必要とされる能力が多岐に渡ります。お客様対応のように人と話す仕事もあれば、明細書作成のような仕事もあり、業務のバリエーションも求められる能力も実にさまざまです。

ですので個々人それぞれの能力を生かすことが叶えば、非常に満足度の高い仕事になるのではないかなと思います。それぞれの得意分野を生かして、自分の能力の可能性が見いだせる場所です。

どのような仕事もそうだと思いますが、「この前の案件とてもよかったので、今回もまた依頼させていただきたい」とおっしゃっていただけることは、やはり嬉しいですよね。

さまざまなクライアント様からお声がけいただき、求められる、大きな喜びが味わえる仕事だと思いますね。

オリーブ国際特許事務所:https://www.olive-pat.com/

藤田考晴プロフィール