特許情報からは業界の動向やトレンド、技術用途をはじめ、様々な情報を読み取ることが出来ます。
そこで今回は、近年盛り上がりを見せている「NFT」について簡単に調査をしていきたいと思います。
「NFT」とは「非代替性トークン」と呼ばれ、「ブロックチェーン」の技術を活用した唯一性を証明するデジタルデータのことです。
全体の出願状況
NFTについて検索をしてみると、化学分野でもこの単語が存在することがわかったため、ブロックチェーンを用いたNFTに関連する特許に絞るために「ブロックチェーン*(NFT+非代替性トークン)」と検索します。
※「*」がAND検索、「( )」が優先演算、「+」がOR検索です。
すると135件の検索結果が得られました。出願傾向は以下の通りです。
2018年から特許出願がされるようになり、「登録」されている件数のほうが多いため、近年登場した全く新しい技術であることが伺えます。
特許の引用関係分析
検索結果の分析より「引用関係の分析」をしてみましょう。
このように特許の一覧と引用関係を表した図が表示されます。
気になる特許をクリックすることでその特許の詳細と引用関係を表した図の拡大が確認できます。また引用関係からの逆引きも可能です。
引用関係を分析することで、ある特許に対する注目度や、どの企業が関心を持っているかといった点が可視化されるため、M&Aや知財取引、自社の研究開発に役立つ可能性があります。
NFTがどのような産業に使われているか(用途探索)
検索結果の分析より「技術分野分析」を選択し、グラフの表示を円グラフにします。
NFTは圧倒的に「eコマース」の分野で活用されていることがわかります。また、意外にも医療技術としての活用もされていることが発見できました。
技術がどのように活用されているかを見ていくことでトレンドのキャッチアップだけではなく、意外な発見もできるのです。
パテントマップによる分析
『検索結果の分析』ボタンの「パテントマップ」を選択し、X軸を「出願年度」過去5年に、Y軸を「出願人」上位5件に絞ってみます。
どの企業や人も2020年以降に特許の出願が多くなっています。近年開発がすすめられ、通信会社であるKDDI、ゲーム会社であるカプコン、SNS関連の事業を行うMIXIのようなもともとネットワークを中心とした事業を展開していた企業が近年「NFT」事業を展開しようとしていると考えられます。
実際にKDDIがこれからどのような事業を展開しようとしているか見ることが出来ます。
パテントマップより、2022年に出願された特許をクリックします。するとKDDIが2022年に出願した特許のみに絞り込むことが出来ます。
KDDIは主に「情報処理」に関して「NFT」を使っていることがわかります。
例えば、以下の特許についてみてみましょう。
「発明の詳細説明」より大まかな概要をつかむことが出来ます。
例えば「その特許が何のために発明されたもの」か「どのような社会課題に対してどのようなソリューションを提供するものか」といった情報をみることができます。
つまり、この会社がこの発明を何のために行い、何をしようとしているかという情報を見ることができます。
気になる特許を見つけたら、まずはここを見てみましょう。
そしてこの特許は簡単に言えば「ポイントを利用してNFTを購入する」という仕組みのようです。
さらに「行政記録」を見てみましょう。
ここでは、審査の経過状態を見ることが出来ます。
審査記録からは時系列に特許取得までの経過情報が記載されているので、参考になります。
この特許の経過情報の中には「早期審査に関する事情説明書」という記載があります。
これは通常以上のコストをかけてでも通常の特許よりも早く審査をしてほしいということが読み取れると思います。
つまり、KDDIは「ポイントを利用してNFTを購入」する技術を使った事業を早急に展開しようとしていると考えられます。
たとえば、「自動運転」に関する技術で、権利を早く取得したいと考えている「早期審査」をかけている特許を検索したいと考えた場合は、検索エンジンに「自動運転 早期審査」と入力して検索をすることで「早期審査」の履歴がある特許を検索することができます。
まとめ
Tokkyo.Aiの分析機能を活用することで、技術トレンドのみならず意外な発見をすることが出来ます。さらには、どのような企業が研究開発を進めているのか知ることが出来たり、さらには、その企業の公開されていない今後の事業計画まで予測できてしまうかもしれません。特許情報を読み取ることで自社の戦略に活用しましょう。