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実用新案権の取得方法

今回は、実用新案権取得の基本的な流れについて説明していきます。

出願前

出願前には、先行技術調査をするのが一般的です。その際は、実用新案だけでなく、特許についても調査することが必要です。たとえ自分が特許権の取得を目指しておらず、実用新案権のみの取得を考えていたとしても、同じような技術について既に特許権が設定されている場合には、その特許権の侵害となりうるからです。

出願

以下の図は、実用新案登録出願の基本的な流れを示しています。

実用新案登録出願の流れ

出典:特許庁ウェブサイト(https://www.jpo.go.jp/system/basic/jituyo/index.html

実用新案登録出願について

出願は、書類でもインターネットでも行うことが可能です。出願の際は、出願書類(実用新案登録願・実用新案登録請求の範囲・明細書・要約書・図面等)に加えて、出願料や3年分の登録料も提出する必要があります。なお、上の図における「請求項」とは、登録を受けようとする考案を特定するための事項です。請求項は、「実用新案登録請求の範囲」という書類の中に、文章で記載されます。

方式審査について

方式審査とは、実用新案法第2条の2第4項各号の定める要件を満たしているかどうかを審査するものです。

(手続の補正)
第二条の二
(省略)
4 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 手続が第二条の五第二項において準用する特許法第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三 手続について第三十二条第一項の規定により納付すべき登録料を納付しないとき。
四 手続について第五十四条第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。

基礎的要件審査について

基礎的要件審査とは、実用新案法第6条の2各号の定める要件を満たしているかどうかを審査するものです。

(補正命令)
第六条の二 特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その実用新案登録出願に係る考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その実用新案登録出願が第五条第六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

設定登録について

以上の審査をクリアすると、実用新案権の設定登録がなされます。特に問題がなければ、出願から設定登録までに要する期間は、2~3ケ月です。設定登録の後、登録実用新案公報において、登録した考案の内容が公開されます。

実用新案技術評価請求について

前回の記事で述べた通り、実用新案権を行使するためには、実用新案技術評価書の提示等が必要です。この実用新案技術評価書は、審査官が、実用新案技術評価請求を受けて作成するものです。実用新案技術評価請求は、誰でもすることができます。

おわりに

実用新案権は、特許権に比べて、簡易・迅速に登録できます。別の記事で特許権の取得方法についても解説していますので、実用新案権と特許権の取得方法についてより深く理解したい方は、ぜひそちらの記事もご覧ください。