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特許出願で避けて通れない、拒絶理由通知への対応

特許関係の情報を調べていくと必ずといっていいほど出てくる「拒絶理由通知書」という言葉。
特許出願に関わっている方であれば実際に届いた資料を観たことがあるかもしれません。

今回は、出願に対して拒絶理由通知がもつ意味と、拒絶理由通知がなされた際にどのように対応をする必要があるかという点を解説します。

拒絶理由通知とは

拒絶理由通知は、出願された特許に、「特許を受けることができない理由」があると判断された場合に、出願をした人に対して特許庁からなされる通知です。

「拒絶」と聞くと、もう登録ができない、諦めなくてはならないという印象を受けるかもしれませんが実際はそんなことありません。

実は、ほとんどの特許出願に対して拒絶理由通知がなされるため、拒絶理由通知が届くのは普通のことであるという点をまずは覚えておいて下さい。

この点を勘違いしてしまうと、受ける必要のないショックを受けることになりますので注意が必要です。

拒絶理由の種類

拒絶理由通知に記載される拒絶理由にはいくつか種類があります。

今回はその一部について紹介します。

・産業上利用できない発明であった(自然法則を利用していないビジネス方法や、技術的思想でない変化球の投げ方など、発明に該当しない内容が記載されていた場合)
・新規性要件違反の場合(既に同じような発明が出願前にインターネットなどで公開されていた場合)
・進歩性要件違反の場合(出願された発明の技術分野において、容易に思いつきそうであるため特許として独占させることが相応しくない場合)
・先願違反の場合(既に出願されている特許の請求項に記載されている発明と同じ発明を出願した場合)
・明確性違反の場合(特許の請求項に記載した内容に曖昧な表現が含まれていたり、発明を明確に把握できない場合)
・不特許事由に該当する場合(公序良俗に反するといった場合)

拒絶理由はこれら以外にも複数あります。

その他の拒絶理由については以下にまとめられていますのでより詳しく知りたい方はご覧ください。

(参考:https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/tokkyo/kyozetsu/kaisetsu.html

拒絶理由通知書への対応方法

拒絶理由通知への対応としては大きく分けて3つの手段があります。

1.意見書を提出

まず最初に意見書の提出が考えられます。

「意見書」は、拒絶理由に対して反論するための書類です。反論が認められると拒絶理由が解消され登録へと繋がります。拒絶理由通知書を受領してから60日以内に提出する必要がありますので、弁理士などの専門家に相談することを推奨します。

2.補正書を提出

次に、権利化を目指す方法として拒絶理由となっている箇所を補正することで登録を目指す手段があります。

権利範囲が広いことが原因で拒絶理由通知がなされているのであれば、手続補正書によって、特許の権利範囲を限定するという方法があります。補正をする場合には、補正書と合わせて、その補正によって拒絶理由を解消したことを記載した意見書の提出が必要になります。

こちらについても拒絶理由通知書を受領してから60日以内に提出する必要がありますので、弁理士などの専門家に相談することを推奨します。

3.審査官面談を依頼する

そして、審査官と直接話をし、技術的な説明(たとえば拒絶理由として挙げられた先行技術との差について説明をするなど)を行う「審査官面談」を依頼することもできます。

「審査官面談」では、実際の製品を見せたりプレゼンテーションを行い、技術について直接説明し、対話することができるためうまく活用することで拒絶理由を解消し、登録へとすすめることができる可能性があります。

注意が必要な点は、「審査官面談」を依頼する前に、補正案の作成と提出が必要となる点、そして、面談を行った場合においても意見書や補正書の提出が必要となっているので気をつけてください。

拒絶理由通知を受け取った場合に参考となる情報

特許庁が、拒絶理由通知をはじめて受け取った方向けにホームページ上で対応についての説明をしています。参考になるので見てみて下さい。

(引用元:https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/tokkyo/kyozetsu/

まとめ

これまで述べたように、「拒絶理由通知書」は、特許出願をするうえで避けて通れない書面です。

特許を出願する段階から専門家に相談し、拒絶理由への対応についても的確に行いましょう。

また、特許は取得するだけでなく「買う」という方法もあります。